A.バタイユ・著/小川泰一・訳「結婚の曲」 白水社昭和2年初版

バタイユ、ですがこちらは悲恋物を得意とした劇作家のアンリ・バタイユ。

昭和ひと桁の昔より、白水社による木版装丁も可愛らしい「結婚の曲」入荷しております。

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棚にそうっと飾りたくなるような表紙、深く枯れた青に鮮やかな花。

状態は完全とは言い難いですが、経年の味が定着できるしっかりとした造りの本です。

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美男子アンリの肖像。

戯曲仕立ての物語では貴族の娘と売れない青年音楽家の駆け落ちが、当時の仔細な生活様式を通して描かれます。

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豪華絢爛な貴族社会の晩餐会や衣装のディテール、振舞いの描写と、安宿で睦まじく卵を茹でるカップルの対比を鮮やかに切り取る序盤は、まるで19世紀末のフランス全体を俯瞰する様なリアルさがあります。

アンリ・泰一氏ともに相当な語り巧者。装丁・内容ともに文学少女的な麗しさに満ちた一冊です。

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