種村季弘「ヴォルプスヴェーデ・ふたたび」 筑摩書房 初版函極美

どこか陰惨な空気の漂う旧西ドイツの、芸術家の集う村・ヴォルプスヴェーデ。

怪人・種村による紀行文とも芸術論とも、怪談ともつかない話の数々。

しっかりとデザインされた造本に豊富な図版は、出版ブーム期の重要な遺産でもあります。

戦時下に亡くなった老画家にまつわる謎めいた逸話や、豊富な知識にて語られる芸術運動の精緻な解説。

参考文献表記の数と比例して膨れ上がる、幻想的な夜の灯り。

種村作品の書籍は装丁が美しく状態の良い物が現在も多く残り、内容的にも好奇心をよく刺激されます。

未読の方にも是非親しんで欲しい、完成度の高い1冊です。

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