臼井喜之介 「京都文学散歩」

京都で様々な文化人と交際をもち、出版局をかまえた臼井喜之介。

また同人誌を主催し、詩人としても活躍したその手腕で鮮やかに描かれた、今で言う京都本「京都文学散歩」です。

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写真も、その豊富な人脈を活かした貴重なカットがふんだんに使われており、資料価値も高い一冊。

桜色の函も美しいです。

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外をあるく時、町の景色の干渉を受けながら色々な想いが浮かんでは消えてゆくのが人の常ですが、今の町並みと当時の京都市街では、それらが文化人にあたえる影響もだいぶ違った物だったのでしょう。

温故知新、これからリトルプレスや出版を志す方にも是非知ってほしい人物の、柔らかい含蓄に富んだ作品です。

稲垣足穂・中村宏 「地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車」

貴重で稀稿で奇怪な書籍、稲垣足穂・中村宏の共著による「地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車」、タイトルだけでゾクゾクしてしまいます。

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ビニールの函カバーが彼らの宇宙の「ぬめり」のように感じるのは錯覚でしょうか?

挿絵・写真などからも濃密なタルホ・コスモロジーが溢れでています。

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状態はやや痛みがありつつも、貴重な一冊。

頭が痺れるような幻想・幻覚に満ち満ちた読書体験をお約束します。

澁澤龍彦 「思考の紋章学」

澁澤龍彦・著「思考の紋章学」、初版函入り帯付き・極美品です。

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白いモノリスのような本体と、民芸調の函イラストが一味違う印象。

本文ページも真っ白な状態に保たれています。

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本作では日本の作家についての言及も多く見られ、そういった意味でも内容から受ける印象は澁澤作品の中でも独自のものがあります。

もちろん、その思考の自由さはいつもの澁澤節。明るくおちついた空間でじっくり向き合いたい一冊ですね。

生田耕作所蔵 バタイユ「息子」

生田耕作所蔵・バタイユ「息子」の原典本、生田氏の旧蔵印付です。IMG_20160530_183236-1600x898

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小さく簡素な作りながら、ヨーロッパらしい端正なフォントや文字組が気品を感じさせます。

生田氏の旧蔵印だけは実に日本的で、そのギャップも良い雰囲気。

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こういった書籍とにらめっこしながら翻訳作業に没頭したアーティスト・生田の情景が目に浮かぶようです。

こういった版型・余白の取り方は、現在エディション・イレーヌ様が得意とされていますね、横書きのアルファベットならではの味にあふれるブックデザインです。

季刊「湯川」 生田耕作・手書き改稿付き

湯川書房発行の小冊子、季刊湯川の生田訳・アスリノー「愛書家地獄」手書き改稿付き2冊組です。IMG_20160530_151816-1600x898

IMG_20160530_182238-1600x8981度目の手直しから、さらに直しを入れられてゆく作品の変遷がよく分かる貴重な品。
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元のニュアンスを崩さない、その制約の中でこれだけの言葉の展開を作り、美文に固めてゆく。

生田耕作の訳者としての実力や矜持がいきいきと感じられます。

「スター・カッスル」 稲垣足穂没後10年・追悼リトルプレス

没後10年の節目に刷られた「スター・カッスル」、様々なアーティストのタルホへの思いが詰まっています。

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サイケデリックで攻めたデザインや文字組、カラーリング。

キラキラとしたモチーフを好んだ足穂も、遠い空の星の上でこの本を歓迎したことでしょう。

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あがた森魚さん、熱く語る。

この冊子意外にも著名な物書きによるミニコミ・同人誌が多く創られている稲垣足穂は、やはり別の世界から来た怪人なのかもしれません。

澁澤龍彦・著 野中ユリ・装丁挿画 「夢のある部屋」

澁澤龍彦×野中ユリの黄金比がじっくり堪能できる「夢のある部屋」、帯の痛みすらほとんど見当たらない美本です。

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よく見ると、函と表紙・裏表紙が鏡合わせになっている所に、お二人の感性を感じます。

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鋭い感性で考察を積み重ねる「澁澤節」ももちろん素晴らしいですが、この本ではもう少し散漫に、奔放に、ビロードのチェアと夢想に身を委ねる著者の姿が見えるようで味わい深い一冊です。

その夢想の断片を切り取ったかのような野中ユリの挿画も見事。自室に篭ってページを手繰れば、彼らの夢を追体験するような贅沢な時間を与えてくれるでしょう。

澁澤龍彦・著 「夢の宇宙誌」

術出版発行の絶版本「夢の宇宙誌」、インパクトのあるエッシャーの表紙は覚えのある方も多いのではないでしょうか。

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中のカラーページも発色良く残っています。

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先代の当店店主が愛蔵していた一冊でもあります。

文庫版では味わえないゆったりと取られた余白と、鮮やかに対をつくるカラー頁の妙は、やはり原典だけの魅力。

資料を追いながら文を組み立てた著者の息遣いまで聞こえてきそうな、そんな雰囲気を感じさせます。

生田耕作・訳 フローベル「愛書荘」 

当・アスタルテ書房刊行の生田耕作・本邦初訳のフローベル「愛書荘」です。

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当店でもお出しできるのはもう、この一冊のみになってしまいました。

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限定300部のナンバーは訳者自らの手書き、さらにこれは・・。

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文を書き、本を愛する人々すべてに向けられた訳者の暖かい視線を、深く醸成された拘りを、造本から句読点の端にいたるまで楽しんでいただけますように。

資料としても貴重ですが、生田耕作による翻訳として、そして文学作品として、非常に価値の高い一冊です。

生田耕作・訳 「マダム・エドワルダ」

河出書房による人間の文学シリーズ・生田耕作の手による「マダム・エドワルダ(同時収録・眼球譚)」、初版美品完本。さらに訳者献呈署名付の一冊です。

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この作者・訳者の作品でこういった極彩色の表紙も珍しくユニークです。

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当時のままの新刊図書カード、宣伝チラシも完備。

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生田耕作や澁澤龍彦の本がこぞって求められた当時の、大手出版社の気概を感じる二本立てのボリューミーな本です。

当時に根を下ろしたフランス文学や彼ら名文士たちへのたぎるような熱が、今の少数精鋭パブリッシングへ受け継がれているのでしょうか。

懐かしさへ思いを馳せる、或いは新鮮な刺激を求めて、名作へ没入する喜びをどうぞこの一冊とお楽しみください。