特別編 日夏耿之介「転身の頌」 中央公論社三重函入り極美本

[書肆ゲンシシャ古写真展 蔵書コーナー出品書籍より]

日本の初期耽美派における偉大な柱の一人、日夏学匠。

その処女詩集「転身の頌」、中央公論社より限定復刊186/300番。

三重函も厳めしく、初期衝動に溢れた若き日の探求者の言葉が木霊します。

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流石本体にはヤケ傷破れどころか塵のひとつも付かず、大切に守られた最初の言葉。

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当時の銘文も再現。暴かれども暴かれども、枯れる事のない言葉の墳墓、金言の泉。

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今見る復刻版とは趣を異にする、神経質なまでの豪華さと再現性のバランス。

この本から彼の作品に傾倒してゆく読者がいれば、それはとても幸せな出逢いに違いありません。

書肆ゲンシシャ様のストレートに文学を愛する側面を感じる出品です。

特別編 テリ・ワイフェンバッハ写真集「Between Maple and Chestnut」 ナズラエリ社美麗印刷装丁本

[書肆ゲンシシャ古写真展 蔵書コーナー出品書籍より]

ただの庭先、ただの草花、なんの工夫もないポーチからの景色。

圧倒的な「普通」に潜む法悦的なまでの美しさをカメラ1台で切り取ってみせる写真家ワイフェンバッハ。

造本と印刷に定評のあるナズラエリ社との黄金タッグにて、木漏れ日の狭間より。

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クロス貼りの色味も質感も、目への滋養たっぷり。優しい、です。

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作品のクレジット以外はひたすら大きく写真だけをプリント。

写真集としてこの上ない在り方。

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滲んだように溢れる色彩と生命の鼓動。

それが涙によるものなら、それは午睡のあくびに、不意に差す日光の明るさに浮かんだ物でしょう。

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ただひたすら、穏やかさと優しさを瞬間の美に宿した写真群。

ヨガなどを利用したリラクゼーションやセラピー関連の人々からも圧倒的な支持を受ける彼女の作品。

造本のクオリティの異様な高さもプラスされ、命の強さが視角を通して分け与えられる最高の鑑賞体験を御約束できます。

特別編 夢人館「ゾンネンシュターン画集」 岩崎美術社初版帯極美

[書肆ゲンシシャ古写真展 蔵書コーナー出品書籍より]

ドイツと二度に渡る大戦が生んだ狂気の色彩と捩れゆくフォルム。

シュルレアリストの称賛を受けながらも、それすらからもアウトサイドを歩もうとした狂画家の貴重な画集、夢人館の光る功績。

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書籍として丁寧に作られ状態は良好に、ページを繰ればめくるめく幻想、否、幻視の世界。

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それが何なのかは辛うじて分かるがそこが何処なのか分からない、そこがどういう処なのか想像はつくがそれが何なのか、分からない。

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理性による感知と感情にダイレクトに変換されるイメージ、いつか境目は溶け合い、奇異な色彩と形態の洪水に安堵を覚えはじめたら。

そこはもう、世界の外側かも知れません。

一人のアウトサイダーアートの作家を扱った画集としては異例なボリュームの本書は、資料としては勿論、ドコカへの旅のお供にもピッタリです。

 

特別編 シャルル・ペロー傑作童話集「眠れる森の美女」 ギュスターヴ・ドレ挿画

[書肆ゲンシシャ古写真展 蔵書コーナー出品書籍より]

各地に散らばる童話を蒐集・研究し、当時を生きる子供たちへ語りかけた「はじまりの児童文学者」ペロー。

明瞭な陰影がどこかダークなドレの大判の挿画を添えて、大人でも楽しめる娯楽作品としての一冊に仕上がりました。

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帯に傷みあり、ですがその他は良好。本体のラベンダーに金の押し加工はいかにもメルヘンながら豪奢。

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一時期流行した残酷系の童話再解釈とは一線を画する丁寧で清潔で、しっかりとした教養と知性に満ちた原初の童話世界。

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珍しい赤頭巾ちゃんの頭髪全景、ゆたかに波打つ髪が当時の少女らしさをリアルに。

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過度で先鋭的な方向へイメージを走らせる事は、その基礎となる部分に土壌としての豊かさがあってこそ。

今でも新鮮さを失わない、希望と善性に立つ存在としての童話世界の住人たち。

彼らと何度でも再会できる幸運に安心しつつ、ページを閉じる事に寂しさを感じつつ、古典は素晴らしいの一語です。

特別編 阿部公房「事業」 ビブリオマーヌ刊行アクリルケース入り限定223/300部

[書肆ゲンシシャ古写真展 蔵書コーナー出品書籍より]

圧倒的な装丁のクオリティと少部数発行、潔癖なまでの選書。

佐々木桔梗氏による伝説的な美麗装丁本出版社・ビブリオマーヌより阿部公房「事業」。

ユートピアの文字がモダンかつ暗示的な限定223/300部、書肆ゲンシシャより会期限定にて到着しております。

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アクリルケースに閉じ込められ、守られた拘り満載の本体。

発売当時の柔らかい白色を湛えています。

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このような出版物があった事にただただため息が出るばかり。人肉食を扱った際どい作品ながら、佇まいは不気味なまでに静けさに溢れています。

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本文の端を敢えて裁ち切らず、触感に訴えるこう言ったディテールもまた物語への奥ゆかしい味付けに。

ショッキングな文化にも切り込み、蒐集し、美学を再発見してゆく書肆ゲンシシャ様らしい、おぞましくも美しい一冊です。

市丸端唄名作集・金子國義装丁挿画 ソノシート4枚付き ビクター

一瞬目を疑う金子國義装丁挿画の文字。

画伯の風流を愛した一面が生んだコラボレーション、市丸端唄名作集。

ソノシートの響きに誘われて、小道に盃を捧ぐ夜。ビクター刊行。

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いかにも日本的な配色に日本的な美人画。

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むかし懐かしソノシート、歌詞も完備につき今日から口ずさめる名曲の数々。

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ソノシートの艶やかな発色や、文字の配置などにモダンな読みやすさを感じるのはやはり画伯の装丁の力も大きいのでしょうか。

本格的な日本画にも取り組んでいた画伯の貴重な軌跡が滲む、非常にレアな一冊ながら、収録内容にも抜かりなしの渋すぎる品になります。

夜想 特集「モダン」

我らが夜想、バックナンバーより特集「モダン」。

機械・歯車・飛行機・セルロイド…。現代の幻想美術において一角をしめる人工的なるものへの郷愁。

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この号の表紙・裏表紙は本当に額に入れたいくらい美しく、品の良いデカダンを溢れさせています。

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内容も勿論充実した夜想仕様。

今は語られる事の少ない芸術家、散発的に盛り上がったムーブメント、流れ星のようなイメージ…。

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モダン、という広すぎる空の中に、刹那的な輝きをその闇に引いて。

機械的な物への郷愁とは、翻って人の温もりへの欲求なのだと、誰かの言葉。

愛好家の方へ選りすぐったとっておきの古雑誌も色々と取り揃えております、どうかお気に入りの物に出会えますよう。

バタイユ「松花状眼球」 生田耕作訳・署名 サバト館初版極美完本

バタイユの傑作「松花状眼球」、生田耕作訳署名入り・サバト館。

当店らしいと言えばこの上なく、サバト館含めた色々な美装本への最初の一冊としても人気の作品です。

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落ち着いた深みのあるグリーン、大きくとられた余白、無駄な情報の一切がない表題、文字組。

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耽美的である事、という事と極めてシンプルである事。

バタイユの描く余分な肉を落としたような純粋な松花状眼球のエロスに、機械的なまでにカチリ、とはまります。

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訳者による構成案を巻末で辿れるのも本書の魅力。

芸術の在り方を探る読書の徒の杖に、きっとなりうる良書です。

バルベー・ドールヴィイ エピグラム集「高貴なる人々に贈る言葉」宮本孝正・訳編

シュルレアリストにも愛された「ダンディなる貴族」、ドールヴィイの高貴な言葉の数々。

レイピアのように鋭く、煌めきをたたえ。宮本孝正の名訳と現代を生きる人々へ。

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単行本ながらこういった本には、やはりシンプルで品のある装丁が求められます。絶妙。

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家の没落を経験し、俗世にまみれる内に身に付いたダンディズム。

本来の身の高貴さも飲み込んだ彼の言葉には、何よりもしなやかで美しい強度のような物が宿っています。

読書家への入り口にも適した適度な緊張感が読みごたえありな良い一冊です。

鈴木泉三郎 戯曲集「ラシャメンの父」大正八年初版/著者献呈署名・生田耕作旧蔵印

日本の戯曲界をリードした劇作家、鈴木泉三郎の代表作「ラシャメンの父」。

1920年刊行、著者から生田耕作へ宛てた献呈署名入りの物。

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函に剥がれなどありますが、本体は愛書家・生田らしく美しいままに残っています。

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ざっくりとした文字の癖が、ニヒルもダンディも越えた著者のおおらかさを感じさせます。

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刊行当時は生まれていなかった事を考えると、その後お二人が出逢ってから署名をお願いしたのでしょうか。

日本に戯曲が息づく初期段階の名作は、きっと若き文学青年に多大な霊感を与えたのでしょう。背景含めて、麗しい物語が綴じられています。