永井荷風「雑草園」 中央公論社初版函

日本を代表する文学翻訳者にして、繊細で奥行のある随筆を多く遺した永井荷風。

後期の随筆集・雑草園には、彼の文学の完成に至る無数の断片に触れる事が出来ます。

若き日の洒落た装いの荷風。

文学という芸術が、他の多くの文化を牽引していた日々。

大正ごろから戦後間もなくの書籍によく見られるこういった囲み罫は、永井荷風の美文に不思議としっくり馴染む気がします。

翻訳家として溢れる程の海外の思想や文化に触れながらも、その感性の純粋は濁りなく。

雑草に煌めく朝露のように、透明に切り取られた記録に親しめる一冊です。

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