里見惇「桐畑」 太陽堂・大正10年初版
人の心の機微を鋭く観察し、あくまで善心に寄ろうとしたまごころ文士・惇。
素朴な装丁の桐畑、状態も良好に大正十年の発行です。
紙の手触りがなんだかホロリと懐かしい。函もダメージ少なく残っています。
この時代の本としては、本文デザインなどから現代的な印象を受けます。
著者本人はかなりのプレイボーイだったようですが、故に自他の多くの心の軋みとも向き合って生きたのでしょうか。
それらに立って尚、優しい眼差しを保つ文章は、間違いなく美しい様々を読後の私達に残してくれます。