ル・クレジオ「逃亡の書」望月芳郎訳 1971年 新潮社初版 帯付き

ル・クレジオの初期作品の一つ「逃亡の書」。新潮社刊行帯付きにて比較的良好な状態。

望月芳郎の訳にて、実験的ながら読み易い一冊に仕上がっています。
熱と混乱の中に祝福を宿すような、味のある装丁。時に暗号や、迷路の如く入り組み乱れる文章から立ち昇る、暗く強い生命力めいた筆の圧。

幸運にも多くの著作が日本でも翻訳されている、力ある作家の一人。

未読の方に特にお勧めを致します。

ブルトン「セリ・シュルレアリスム=2 夢の軌跡」 1976年 国文社三刷

アンドレ・ブルトン編集によるアンソロジー的書籍を三者共訳にて送る良書。

ブルトンとそのシュルレアリスム周辺を知る上で重要な一冊として今なお人気を誇ります。

どこか不穏で印象に残る装丁。 多くの作家や作品が紹介され、シュルレアリスム愛好家ならずとも読み応えのある、深く豊かな展望。 時代時代の移ろいの中にあって様々な示唆に溢れた一冊です。

澁澤龍彦編「 ユリイカ 総特集エロティシズム」 1971年 青土社

今も先鋭的な特集を次々と送り出す青土社の「ユリイカ」より、澁澤龍彦監修によるエロティシズム特集号。

雑誌ならではの豊富な図版と、個々の執筆の味わい深さが魅力の一冊です。

目次には現在も精力的に活動されている名前も多々。 現在において再評価の機運高まる海外の芸術家などもいち早く紹介しており、気の行き届いた監修を感じさせます。 半世紀近く前の刊行物ながら、様々な発見に満ちた良冊子です。

吉井勇「洛北随筆」 1940年 甲鳥書林初版 函付き

その人生の後半を京都で過ごし、多くの印象的な作品と歌集を残した吉井勇。

東京と京都、二つの文化圏の中で独自の幻想・耽美・叙情を磨き上げた作者の、京都洛北生活の覚書。

甲鳥書林刊行、決して豊かではなかった時代に頑健な函付きです。
文化、人々の暮らし、芸術へと向かう精神。様々な思いが一流の美文で綴られます。

端正な言葉の運びは読み易く、また一方素晴らしい奥行きを持つ作品の書き手の一人。

未読の方にも歌集と共に強くお勧めを致します。

永井荷風「小説 浮沈」 1947年 中央公論社初版

日本を代表する小説家の一人、永井荷風。

中央公論社より戦後まもなくの刊行にて、戦中期の荷風の往時の日々への眼差しが光る一冊。 味のある筆書きで始まる装丁。経年のイタミ・ヤケあり。馴染みの良い紙質です。 約100年前の東京を舞台にしつつ、普遍的な人間の感情を情感あふれる筆致で描く傑作。 荷風独特の品あるケレン味も豊かな作品です。