邦枝完二「絵入り草子 おせん」 小村雪岱装丁挿画 新小説社初版函美本 

幼少期より育まれた日本的な世俗情緒より出でて、恐るべき美の世界を作り上げた代表作・おせん。

小村雪岱の装丁挿画による、1934年刊行の一冊。保存状態もとても良好です。

函にやや経年のイタミがありますが、雪岱の挿画、本文ともに美しいまま保存されています。

函や挿画にて印象深い青の発色、80年を越えてなお艶やかなその色彩には、何かの秘密が宿っている様です。

当時の国内文学の隆盛を支えた多くの新聞連載作品の中でも異彩を放ち、現代にも愛好家の多い邦枝完二の作品群。

その麗しい官能の極致として、非常に優れた一冊となっています。

中原佑介「大発明物語」 美術出版社 初版函

日本の美術評論における巨星として、国内外にて多くの美術展覧会にも活躍した中原佑介。

こちらの書籍にては、自動人形や永久機関など、正統な科学史から抹殺された「大発明」を詳細にレポートしています。

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古沢岩美「りんごの私のなかのりんご」 バベル社限定46/100番 錦蛇革装・銅版画九葉付極美

シュルレアリスムに刺激された官能的な作品で知られる洋画家・古沢岩美。

バベル社より刊行された「りんごの私のなかのりんご」、本錦蛇革装銅版画9葉付の少部数本を入荷しております。

木箱に納められた鱗の中身は、強い耽美とデカダンの香る銅版画と言葉の数々。

背の山羊革の紅い発色も見事に残っています。

神話世界の住人をモチーフに語られる瑞々しいエロスはピエール・ルイス的な味わいもあり。

造本を含め完結した美しさに溢れる1冊です。

寺山修司「絵本・一千一夜物語」 宇野亞喜良・挿絵 天声出版初版

寺山修司オリジナル・一千一夜にはより怪奇な存在が宿る様です。

宇野亞喜良の官能的な挿絵と、天声出版より。

荒唐無稽、予測不能ながら美しい秩序を感じる寺山の文章に、挿絵の甘美な曲線が絡みつく様です。

折り込みピンナップも野心的な名著。

是非のご一読をおすすめ致します。

星川清司「小村雪岱」 平凡社・函付き初版

未だ謎多き画家・小村雪岱。

その生涯を数多の文人の言より描きだした星川清司の名著、初版函美本を入荷しております。

美しい装丁、雪岱画のセレクトも情緒溢れる物です。

鏡花、荷風、瀧太郎…、文人たちの語る言葉によって浮かび上がる画家の穏やかな人柄と、穏やかな芸術家たちとの交流。

近年注目の高まる雪岱装丁本への眼差しをより深くする、ファン必携の一冊です。

泉鏡花「斧琴菊」 小村雪岱装丁・初版函極美

以前も入荷のあった泉鏡花「斧琴菊」、こちらは草の色も鮮やかな函付きの美本を店頭に置いてございます。

昭和九年初版の書籍ながら、本文頁の紙の白さも眩しく。

どこから見ても鮮やかな保存状態にて、出版当時と同じ手触りの鏡花作品をお楽しみ頂けます。

文字組みの妙は初版本ならでは。

こういった極々程度の良い物から、読むのには支障がない程度のイタミの物まで、出版当時の御本での読書が多くの作品にて楽しめる現代。

是非沢山の方に古書を手に取る喜びを感じて頂ければと、「斧琴菊」「照葉狂言」を前に願います。

渡辺啓助「鴉白書」 東京創元社 限定13/200部

ゴーストライターとしてデビューし、戦時は大陸視察にも同行した推理作家・渡辺啓介。

晩年の鴉の黒に染められた東京創元社「鴉白書」、限定200部中の13番本です。

画像中央、本人による鴉の墨絵が付属。

絵に親しんだという晩年の傾向を強く感じさせる装丁です。

目次も内容も、一目見ただけでワクワクしてくる様な…。

書籍の各ディテールの担当もしっかりと表記、ファンのみならず美装丁本好きの好奇心も満たします。

近年、中々大手は発行しなくなった限定豪華本。

本書はさらに探偵物作家の豪華本という独自の魅力に溢れており、来歴からくる不思議さもより際立つ一冊です。

町野好昭「マルガリテス」 極美帯付き

異端、耽美、孤高…それらのキーワードと語られながらも、決して特定の美感では捉えきれない静かな妖しさ。

画家・町野好昭が自ら出版した画集マルガリテス。額装可能な14葉の少女画に詩を添えて。

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黒の表紙に銀色の帯、この洗練に佇む静寂の中のエロス。

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時に鮮やかな、時にくすんだ色彩を以て描かれる少女の表情からは何も読み取れず、ただするりと美しいフォルムの中に様々な何かを感じ取れるでしょう。

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どこか宗教的な熱を内包した静かな世界にエロスの香りを感じとるのは、果たして悪い事でしょうか。

決して有名ではない、しかし唯一無二の魅力を宿した本物の作品集。造本も見事です。

須川誠一校訂「装釘の常識」 草人堂/アスタルテ書房

生田耕作監修の下、当アスタルテ書房の発行にて当初9番までの刊行を予定していた愛書家双書。

諸々の事情により中途でその刊行を途絶える事になりましたが、こんな素晴らしい書籍を造る事が出来ました。

須川壮一校訂、草人堂編による「装釘の常識」。黒地に金。

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厚手のビニールカバー、頑強に。

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この赤字が綺麗に出る用紙も、サバト館の試行錯誤の賜物でしょう。

本の装釘に関して理念哲学の粋にまで踏み込む、書物への想いを感じます。

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ただ高価な書籍だけでなく、思い入れのある本には特に長生きして欲しい物です。

そういった全ての愛書家にとってバイブルとなる1冊でありますように。

特別編 テリ・ワイフェンバッハ写真集「Between Maple and Chestnut」 ナズラエリ社美麗印刷装丁本

[書肆ゲンシシャ古写真展 蔵書コーナー出品書籍より]

ただの庭先、ただの草花、なんの工夫もないポーチからの景色。

圧倒的な「普通」に潜む法悦的なまでの美しさをカメラ1台で切り取ってみせる写真家ワイフェンバッハ。

造本と印刷に定評のあるナズラエリ社との黄金タッグにて、木漏れ日の狭間より。

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クロス貼りの色味も質感も、目への滋養たっぷり。優しい、です。

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作品のクレジット以外はひたすら大きく写真だけをプリント。

写真集としてこの上ない在り方。

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滲んだように溢れる色彩と生命の鼓動。

それが涙によるものなら、それは午睡のあくびに、不意に差す日光の明るさに浮かんだ物でしょう。

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ただひたすら、穏やかさと優しさを瞬間の美に宿した写真群。

ヨガなどを利用したリラクゼーションやセラピー関連の人々からも圧倒的な支持を受ける彼女の作品。

造本のクオリティの異様な高さもプラスされ、命の強さが視角を通して分け与えられる最高の鑑賞体験を御約束できます。