江戸川乱歩「黒蜥蜴」 ふじ書房 1946年初版

通俗小説の流れに在りながら江戸川乱歩の代表作として有名な「黒蜥蜴」。

ふじ書房による1946年発行の物を入荷してございます。

強烈に主張してくる黒×赤の装丁。

扉のデザインにも味わい深さがあります。

経年のヤケはありつつも、本文には支障なし。

怪しく珍奇な様々が整列する乱歩の世界へ否応無く誘われてゆきます。

日本を代表する推理・探偵小説家として、また随一の奇譚の語り部として現在も愛好家を増やし続ける江戸川乱歩の代表作。

深い夜のお供の一冊に是非のお勧めを致します。

ジョゼフ・ケッセル「ライオン」 多田智満子 訳 日本ブリタニカ 1981年初版

ケッセルの名作動物文学「ライオン」とケレックの美麗な絵による豪華な絵本。

多田智満子による名訳にて、印象深い一冊となっております。

深みのある色彩に際立つ動物たちの艶かしさ、大判の頁に緻密に織り出される物語。

絵本という体裁ながら、文学作品としての高い完成度があります。

遠い異国への郷愁、人と動物たちの鮮やかな生命の躍動、それらを克明に描く人智の結晶。

絵と文学と翻訳の三者が創りだす無二の世界を味わえる名作です。

吉井勇「歌集 流離抄」 創元社 1946年初版

静けさに歩む歌の水辺に夢幻のイメージをひそませた吉井勇による歌集「流離抄」。

創元社版1946年発行のとても美しい一冊です。

扉、外装などにシミ・ヤケなどございますが、本文は概ね良好です。

ごく薄く漉かれた紙に終戦翌年の物資の窮乏を思わせど、丁寧に印刷された歌の、文字のひとつひとつに情感が滲むようです。

後の日本の幻想・耽美文学へも受け継がれた、吉井勇の上品にして自在な歌の魅力。

質の良いアルコールにも似た心地よさを是非お楽しみ下さい。

荒俣宏 訳「ダンセイニ幻想小説集」 創土社 1972年初版函帯

自ら団 精二を名乗り翻訳を行うなどダンセイニ作品への愛着をうかがわせる訳者による幻想小説集。

創土社刊行の熱量あふれる一冊です。

凄味の漂う装丁、図版や資料なども充実しています。

密に組まれた本文と、幻惑的な物語のもたらす酩酊感。

とても「濃い」仕上がりとなっています。

分厚く濃密な一冊ながら、容易にその中に溺れてゆく事ができる良著。

ダンセイニ作品への入り口としてもお薦め致します。

コクトー「フランソワの薔薇」 高橋洋一 訳 森開社 1975年 限定79/500番

現在も厳選されたタイトルを麗しい装丁で刊行しファンを魅了し続ける森開社。

設立初期にあたる70年代発行のジャン・コクトー「フランソワの薔薇」が入荷してございます。

必要最小限にして最も美しい本の佇まいに、添えられた薔薇一輪。

雪を踏む音にも似たコクトーの詩に、高橋洋一の翻訳が光ります。

付録のプリント一枚、本文と共にヤケなどなく良い保存です。

作品として、書籍として、その繊細さの中に忘れ得ぬ力強さを感じる素晴らしい一冊です。

是非店頭にてお手にお取り下さいませ。