稲垣足穂「菫色のANUS」

星と飛行機と少年の守護魔人、稲垣足穂の言わずと知れた短編集「菫色のANUS」。

函付き極美本入荷しております。

洒落た字体のサイン、白色背表紙によく映えます。

正方形に近い版型。タルホ本はメジャーな物からファンブックに至るまで、変形本や珍しい寸法の書籍が多い印象です。

不定形の欲望に、天体と機械との正確無比な煌めきで象を与えるタルホグラム。

これから夜空の住人たちも、花の香気に少し地上を散歩するかも知れません。

お月様と曲がり角で出くわしたら…そんな時慌てずマッチを擦るために、稲垣足穂の書籍も多く取り揃えています。

中井英夫「蒼白者の行進」 極美完本

黒鳥館の応接間より、死後も多くの読者に芳醇な言葉を語りかける中井英夫。

心臓の病と泉鏡花賞を得て最も多作な時期の作品「蒼白者の行進」の静かな熱量。

パラフィンにより保護されており、函・本体ともに痛みヤケ一点もなし。

連作の執筆も多かった時期の筆致に溺れる、緻密に描かれた迷路図を惑う快楽に似た読書体験。

中井英夫作品、小説の他にも随筆、短歌関連など置いてございます。

春の曖昧な暖気がアルコールになる時節、未読の方にも強くおすすめ致します。

矢川澄子「アリス閑吟抄」

伝説的同人誌「未定」同人にして、澁澤龍彦の最初の恋人。不滅の少女。

矢川澄子による詩集「アリス閑吟抄」。玉のように転がる無垢な言霊。

クリームに添えられたミントの様な簡潔な配色に、1980年当時の心を思います。

言葉遊びの中にきりっと結ばれる潔癖な善性と、一方で舌をだして笑っている悪戯っ子の愉しさ。

多面体結晶を思わせるキラキラとした美しさに、純粋に行われる言葉への祈りを感じます。

澄みわたり過ぎた精神とその美貌で、決して安穏な人生ではなかった偉大なる少女。

しかしその言葉に触れる時、私たちもまた得難い幸運の中に彼女の姿を見るのではないでしょうか。

山口椿「雨月物語」 初版帯極美

現代の谷崎潤一郎とも目される、愛と倒錯の小説家・山口椿。

筆者本人の筆による枕絵も妖しく、雨月物語の帯付き極美本です。

表紙デザイン・帯に踊る文字、湿度と共にあるエロス。

巻頭に枕絵を数作品収録、見事な筆さばきです。

鼠色の闇を掻き分け、見てはならない物を見てしまう感覚。そしてまた闇の外の日常へ。

本書の他にも山口椿作品、置いてございます。

現代にも尚盛んに燃え上がる水中花の耽美文学を、是非お楽しみ下さい。

斎藤緑雨「油地獄」 名家傑作集第十三編・初版函

鋭い機知とユーモアを以て日本文学史を彩った斎藤緑雨。

発行数は伸びなかったものの、少ない小説の中にもその魅力を遺しています。

名家傑作集より「油地獄」、函に痛みはあれど天金・本文は良好。

春陽堂がなければ忘れ去られたであろう作品や文人は多いのでは、往時の出版人の気概。

短文の中に多くの示唆とビジョンを詰め、アフォリズムを得意とした筆による小説は、深く切った剃刀傷のように感性を刺激します。