澁澤龍彦「手帖三部作」 1971-73年 桃源社 初版函美本 三冊揃え

一般に流通した書籍として、あまりに美しく完成された書籍のひとつ。

澁澤龍彦、手帖三部作「黒魔術の手帖」「毒薬の手帖」「秘密結社の手帖」、状態のよい物を三冊揃えで入荷しております。

堅牢な函、箔押しタイトル、良質な本文紙、見開きや各装飾の丁寧な仕上げ。

そしてそこに納められた澁澤龍彦の愛するそれら世界への愛。

小口までそれぞれの表紙と同じ色に塗られたその美学に、今も代表作のひとつに数えられる圧倒的な存在感が漂います。

特装本・限定本ではないにも関わらず、ここまでの仕事が叶った70年代と澁澤龍彦という奇跡。

刊行より50年を経そうな今も、シミ・ヤケ一切のイタミなく、100年の先へも残したくなる書物です。

塚本邦雄/寺山修司「火と水の対話」 1977年 新書館 初版

塚本邦雄と寺山修司、それぞれに孤高の美学を世に生み出し続けた二者による対談集「火と水の対話」。

新書館刊行の優れた企画の一冊。

章毎に掲げられたテーマに沿って、時に奔放に時に緊密に重ねられる対談。

そのテーマ自体が目を惹くものであり、二者の美学を反映する様です。

巻末のいろは歌合戦で繰り広げられる奇想の大遊覧。

この企画が通り、部数をもって刊行されて行く当時の出版界をとても眩しく思います。

塚本邦雄、寺山修司それぞれのファンには勿論、現代日本文学の耽美なる流れの愛好家にもお勧めな良著となっております。

ミッチェル/リガード「フェノメナ 幻象博物館」 村田薫訳 1979年 創林社 初版

人・物・事、世に溢れる怪奇な様々を豊富な図版と詳細なレポートで大量無尽に紹介する怪書・フェノメナ。

オカルトファンならずとも楽しめる不穏さが魅力の一冊が入荷してございます。

圧倒的な目次の分量は、「少女を狙う石」「空中礼拝」など不可思議な語句のオンパレード。

「腸チフスメアリー」といった怪人譚から「妖精の棺」、そしてUFOまで濃厚なオカルト本ながら、読み物としてユニークな魅力も有しています。

W.ブレイクの描いた猿の絵、力強い画力。

センセーショナルな語句に頼る事なく、淡々と綴られる異界の魅力。

その独特のバランスに引き込まれる一冊となっています。

ジュネ「花のノートルダム」 堀口大學訳 1962年 新潮社 重版

獄中発、コクトー経由にて花ひらく仏文壇へ。

若きジュネの鮮烈な美文を名人・堀口大學の名訳にて、新潮社のロングセラー単行本を是非。

間を大きくとっての赤いタイトルは、多くみられるスタイルながら品を漂わせます。

献辞にも滲む、純粋なる文人の軋むような魂。

どこか目に薄く感じる本文の印字は、文章の密度に対してとても読みやすい印象を受けます。

決して平坦ではない人生を歩みながらも、不朽の美しさを宿した作品を書き続けたジュネ。

フランスを愛した堀口大學による名訳とととに、愛され続ける確かな名著に仕上がっています。

マンディアルグ「ビアズレーの墓」 生田耕作訳 1989年 奢灞都館 普及版 月報新刊スリップ訳者署名付き美本

内容・造本、ともに優れた書籍を次々と出版し、日本の出版史に今も燦然と輝く奢灞都館。

名著「ビアズレーの墓」普及版、訳者署名入りの美本が入荷しております。

仏文学の翻訳者として名を馳せ、また日本の埋もれた名作の発掘に尽力した生田耕作。

小ぶりながらも達筆な署名です。

普及版ながらも、繊細な印刷、丁寧な文字組、フランス装を採用など、こだわり抜いた造りです。

月報、新刊スリップが付属し、保存状態は表紙・本文ともに極々良い状態です。

短い活動期間ながら、数多の優美な書籍を刊行した奢灞都館。

フランス耽美文学、そして生田耕作作品への耽溺の入り口としても是非お勧めを致します。