中井英夫「とらんぷ譚」 平凡社初版・函帯月報新刊スリップ付 献呈署名

「悪夢の骨牌」「人外境通信」を含む中井英夫の傑作連作短編集。

献呈署名入り、付属紙類完備にて店頭に到着しております。

トランプに準えて配された各単行本作品と書き下ろし作品。

また非常に分厚い本になっておりますが、余白や頁デザインは贅沢に取られています。

色褪せる事のない黒鳥の、万華鏡の様な影の世界へと長期旅行を約束してくれる1冊。

とてもメモリアルなファン必携の書となっております。

堀口大學「随筆集 捨菜籠」 弥生書店初版函美本

「月下の一群」を始めとして傑出した翻訳文学を残した堀口大學による随筆集。

大文学者の若き日の素顔にも触れる事のできる興味深いシーンも多く収録してあります。

白と菫色を貴重とした品のある装丁。

当店にても多く扱う吉井勇など、当時の文壇の交流録なども実作を引きながら楽しく読み進められます。

中には執筆時期の不明な、恋文じみたお話も。

とっつきにくいと感じる方も多い翻訳文学にも、自然と情感を伴って親しみたくなる。

そんな魅力がページの隅々から感じられる1冊です。

橘外男「棺前結婚」 広論社・探偵怪奇小説選集 初版美本

タイトルからすでに不穏な空気の漂う橘外男「棺前結婚」。

広論社選集より程度のよい初版本を入荷しております。

褪せた様な色味の裏表紙に透かしみる陰気な欲望。

二段組み本文も注意深く組まれています。

目次にならぶ言葉をみるだけでゾクゾクとする様な橘外男の世界。

カバンにも入りやすいサイズのこちらの書籍は、夏の遠出にて一服の恐るべき清涼剤になるやも知れません。

ミルチャ・エリアーデ「妖精たちの夜 Ⅱ」 住谷春也・訳 作品社初版帯美本

宗教、民族学に多くの貢献をし、幻想の描写に独自のロマンを持つエリアーデ。

真夏の夜に向けたイメージの着火点のひとつに如何でしょうか。

造本、ミルキィ・イソベ氏。

メルヘンな書名ながら、時に激しい言葉や太字にて強調される単語にひやりとする感覚も。

また、多くの言語をマスターした著者ならではの含む物の多い描写も味わい深く。

お薦めを致します。

古沢岩美「りんごの私のなかのりんご」 バベル社限定46/100番 錦蛇革装・銅版画九葉付極美

シュルレアリスムに刺激された官能的な作品で知られる洋画家・古沢岩美。

バベル社より刊行された「りんごの私のなかのりんご」、本錦蛇革装銅版画9葉付の少部数本を入荷しております。

木箱に納められた鱗の中身は、強い耽美とデカダンの香る銅版画と言葉の数々。

背の山羊革の紅い発色も見事に残っています。

神話世界の住人をモチーフに語られる瑞々しいエロスはピエール・ルイス的な味わいもあり。

造本を含め完結した美しさに溢れる1冊です。

稲川足穂「ヴァニラとマニラ」 仮面社初版函

後期タルホ文学の名作・ヴァニラとマニラ。

サドに始まり天体、機械、少年愛を巡る銀色の飛行体。

きっちりと詰められた文字、厳格な放蕩。

多くのタルホ的モチーフを溢れさせながら夜空を流れる、方舟めいた作品。

後期著作への入り口としても最適ではないでしょうか。

 

寺山修司「絵本・一千一夜物語」 宇野亞喜良・挿絵 天声出版初版

寺山修司オリジナル・一千一夜にはより怪奇な存在が宿る様です。

宇野亞喜良の官能的な挿絵と、天声出版より。

荒唐無稽、予測不能ながら美しい秩序を感じる寺山の文章に、挿絵の甘美な曲線が絡みつく様です。

折り込みピンナップも野心的な名著。

是非のご一読をおすすめ致します。

鹿島茂「レ・ミゼラブル百六景」 初版美本

当代随一のフランス・マニアにして愛書狂、鹿島茂による初期の著作。

素晴らしい木版図版も豊富な一冊です。

味わい深い木版挿絵、滑らかな鹿島語り。

背表紙にいたるまで抜かりないデザインになっております。

そして圧巻、書籍掲載の木版画家一覧。

現在も精力的に執筆を続ける鹿島茂氏、この本からも強い情熱と愛を感じます。

クロード・セニョール「黒い櫃」 山田直・訳 創土社初版函

ある想念の黒い塊。

知る人ぞ知る幻想文学者、クロード・セニョールの著作。函帯月報付き美本です。

訳者はヴァレリーの訳作品を多く送り出した山田直。

かなり分厚い本ですが、魅了される様な言葉の数々を追う愉しみを逆に煽り立てる、存在感ある良書です。

星川清司「小村雪岱」 平凡社・函付き初版

未だ謎多き画家・小村雪岱。

その生涯を数多の文人の言より描きだした星川清司の名著、初版函美本を入荷しております。

美しい装丁、雪岱画のセレクトも情緒溢れる物です。

鏡花、荷風、瀧太郎…、文人たちの語る言葉によって浮かび上がる画家の穏やかな人柄と、穏やかな芸術家たちとの交流。

近年注目の高まる雪岱装丁本への眼差しをより深くする、ファン必携の一冊です。