吉井勇 歌集「悪の華」 竹久夢二木版装丁・函
優美で整った語り口、爵位持ち、愛妻家。谷崎・白秋・啄木らと親交を持ち、耽美派ながら誠実な作風を極めた吉井勇の心象がこだまするような歌集。
竹久夢二の手による木版装丁に天金が麗しい一冊です。
タイトル絵も残酷ながらどこか「粋」を感じさせる雰囲気。
1頁2首という贅沢な配置が吉井短歌の深みある言葉の響きを、より強く共鳴させます。
約90年前、この本に心震わせたであろう少女の。鉛筆書きなので消せますが、遠い記憶に思いを馳せるのも古書の価値です。
名のよく通った大文豪にも、志をともにした同人仲間がいて、その彼にもファンがいて、今に残る足あとがあり、いつか今の人達も。
この本もきっと、ずっと巡ってゆくでしょう。
澄んだ歌の内容も、美麗な装丁も、保存状態も全て良好。貴重な一冊です、オススメいたし升。