田辺定之助訳 テオフィル・ゴーチェ「スピリット」 初版極美
目に見えないものたちの美と神性を極めて鮮やかで表情豊かな描写の内に留める事に成功した傑物・ゴーチェ。
田辺定之助の名訳により1866年の幻想美が現代の風景の中にまたも宿ります。
黒をベースにしたシンプルで重厚な造りは、過剰な誇示を嫌ったゴーチェ本人も気に入るのではないでしょうか。
かっちりとした印章を受ける文字組も原作者の好みを反映した様、こうした厳格さにむしろ馴染んで行く幻想の奔放さはゴーチェの本領でありましょう。
月報付きの極美本、夜にふる雪のように白いページ。
ベットサイドにそっと置いて愛でたくなる一冊です。