中野嘉一編「稲垣足穂 全詩集」 宝文館出版 初版函帯月報付き

その多くの作品に詩とも散文ともつかない夢幻の筆致を遺し、硬質なオブジェの中へ酩酊を誘う稲垣足穂。

宝文館より刊行のこちらの全詩集は、初期作品から晩年に至るまでの「詩」として発表された作品を網羅しています。

函背にややヤケありですが、銀の箔押し背タイトルや帯なども状態よく残っています。

極短い文の中に詰められたタルホコスモロジーの彗星の様な輝き。

初期作品の一部は「一千一秒物語」の中に紛れ込んでいそうな、無垢な味わいを感じます。

初出一覧や、詩作品にそった年表も附され、編集の中野嘉一氏の情熱に感服します。

天体、ヒコーキ、煙草、少年愛…。

稲垣足穂お気に入りのテーマに溢れながら纏めて読む機会のない詩作品たちを、どうか心行くまでお楽しみ下さい。

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