吉井勇「歌集 流離抄」 創元社 1946年初版
静けさに歩む歌の水辺に夢幻のイメージをひそませた吉井勇による歌集「流離抄」。
創元社版1946年発行のとても美しい一冊です。
扉、外装などにシミ・ヤケなどございますが、本文は概ね良好です。
ごく薄く漉かれた紙に終戦翌年の物資の窮乏を思わせど、丁寧に印刷された歌の、文字のひとつひとつに情感が滲むようです。
後の日本の幻想・耽美文学へも受け継がれた、吉井勇の上品にして自在な歌の魅力。
質の良いアルコールにも似た心地よさを是非お楽しみ下さい。