ジュネ「花のノートルダム」 堀口大學訳 1962年 新潮社 重版
獄中発、コクトー経由にて花ひらく仏文壇へ。
若きジュネの鮮烈な美文を名人・堀口大學の名訳にて、新潮社のロングセラー単行本を是非。
間を大きくとっての赤いタイトルは、多くみられるスタイルながら品を漂わせます。
献辞にも滲む、純粋なる文人の軋むような魂。
どこか目に薄く感じる本文の印字は、文章の密度に対してとても読みやすい印象を受けます。
決して平坦ではない人生を歩みながらも、不朽の美しさを宿した作品を書き続けたジュネ。
フランスを愛した堀口大學による名訳とととに、愛され続ける確かな名著に仕上がっています。