サマーズ「吸血妖魅考」日夏耿之助訳 1976年 牧神社初版 箱付き
怪奇幻想の領域にて、その学識の深さも文筆の描く美しさも並ぶ者のいなかった日夏耿之助。
牧神社より刊行されたサマーズ「吸血妖魅考」では、ヨーロッパに深く根付く吸血鬼とその眷属たちの姿が描かれています。
怪談紙芝居を思わせる赤黄の函、表紙。目次から立ち現れる西洋世界の百鬼夜行。
多岐にわたる資料と共に、サマーズの執拗な調査・研究と、日夏一流の美文を以って描き出される夜の支配者たち、凍るように美しい怪異の数々。
翻訳文学に於いて揺るがない名作を多く書きながら、文化研究にも重要な仕事を遺し続けた日夏耿之助の、まさに類をみない一成果。
そしてサマーズの実際的で地道な研究で浮かび上がる吸血鬼たちは、現代の読者様へも強いインスピレーションをもたらす名著です。