沼正三「家畜人ヤプー」 都市出版社 1970年重版 函付き

その余りに奇妙で反道徳的な内容から多くの物議を醸し、トラウマを遺した「家畜人ヤプー」。

連載時原稿に近い初期型の単行本として今も人気の高い都市出版社版が入荷しております。

函にイタミ・ハガレあり。

本体はパラフィンに保護され比較的良い状態です。

二段組みの本文と挿絵は緑のインクで印刷をされ、読みやすい中に奇異な印象を閉じ込めています。

反道徳、反体制、反男性主権、残忍なまでの逆行が誘うめくるめく倒錯に、いつしか快く溺れてしまうような作品です。

鷲巣繁男「ポエーシスの途」 牧神社 1977年初版 函付き

古代と異端の詩歌に耽溺し、独自の地位を確立した詩人・鷲巣繁夫。

上質なクロス装も美しい牧神社刊行の名著「ポエーシスの途」、1977年の物です。

函に経年のイタミややあり、本体は状態良く保たれています。

箔押し、マーブル紙など、凝った装丁。

多くの作例を引きながらも、読みやすく組まれた版の美しさ。

多くの文学と言語の内に、グノーシス的なる自らの文学世界を作り上げた鷲巣繁夫。

彼の詩神へいたる旅路の一端が垣間見えるような強い印象を残す一冊となっています。

饗庭孝男「石と光の思想」頸草書房 1980年重版 函付き

日本と西洋の思想・文化への深い思索をもってフランス文学の研究に大いなる足跡を残した饗庭孝男。

若き日に目にしたヨーロッパの姿を瑞々しい感性で記した著作、頸草書房版を入荷しております。

空のような、若しくは鉱石のような装丁が印象的。

函、本体ともに良好な状態です。

シンプルながら要所で感じる遊び心、切り取り方の上手い図版など楽しく読み進められます。

ヨーロッパを丁寧に、新鮮に読み解くような内容に、著者の文化への誠実さを見るよう。

西洋文化論への入り口としてもオススメを致します。

日夏耿之助「サバト恠異帖」 国書刊行会 1987年初版

現在も素晴らしい書籍群を次々と刊行しファンを唸らせる国書刊行会によるクラテール叢書の6番。

東西の恠異を饒舌に、かつ緻密に語り尽くす怪奇・幻想ファン必携の一冊が到着しております。

シンプルに取られた扉、圧倒的な密度で書かれる恠異の数々。その夜の深さ。

図版の刷りも美しく、しっかりと闇を浮かび上がらせています。

翻訳家・文筆家として多くの学識を呑み込んだ日夏耿之助。

その闇夜の濃い部分を丹念に抽出したような良書となっています。

ドールヴィリー「真紅のカーテン」 生田耕作訳 サバト館 1987年初版 訳者署名入り極美

黒を基調とし、真紅と金の箔押しが素晴らしい装丁の一冊。

サバト館・生田耕作によるバルベー・ドールヴィイの名著、訳者署名入りの物になります。

函、本体共にビニールで保護されており、経年のイタミからも万全に保護されています。

一般的な単行本よりやや大きめのサイズ、頁いっぱいに広がる迷宮のように端正な美文。

署名の運びも流麗に。

いささか旧く大仰な感性を漂わせるドールヴィイ作品は、一方普遍的な美徳を常に透かし見せるような美しさを感じます。

ユリイカ「臨時増刊 禁断のエロティシズム」 1992年 青土社美本

時代の求める優れた特集を多く組む、名雑誌ユリイカ。

1992年刊行の臨時増刊にて、エロティシズムを主題にした一冊。状態はとても良好です。

抽象的ながら躍動感に目を惹かれる表紙、その鮮烈な真紅。

多くの名著家と芸術家の名が並ぶ目次に圧倒されます。

カラーの図版も相当な量を収録し、またそのセレクトのひとつひとつがマニアックかつハイレベルです。

澁澤龍彦によるゾンネンシュターンの評論も掲載。

美術誌、文芸誌、評論誌、そういった存在のあるべき姿を鮮やかに体現したような1992年のユリイカ。

その熱と切れ味に脱帽してしまう、優れた仕上がりになっています。

河村錠一郎「世紀末の美学」 1986年 研究社出版初版

イギリス美術の研究家にして、ビアズリー関連の多くの著作を持つ著者。

その知見溢れる、世紀末芸術への一大展望。研究社出版刊行の良質な一冊が入荷しています。

帯、表紙、本体、良好な状態です。

目次に踊る数々の単語に、すでに引き込まれるような高揚を感じます。

図版も豊富に差し込まれ、時代毎に必ず訪れる世紀末という空気の豊穣を存分に味わえる内容です。

頽廃と混乱と、感傷と抒情とに彩られた世紀末。

その麗しい世界の機微を愉しめる、読み応えある一冊。お勧めを致します。

窪田般彌「孤独な色事師 ジャコモ・カザノヴァ」 1972年 薔薇十字社初版

稀代の好事家にして芸術家、カサノヴァ。

その放蕩の代名詞たる彼の研究に没頭した訳者による魅力溢れる一冊、薔薇十字社の意欲的な刊行。

マスタード色を基調とした装丁に漂う、どこか悲しげな享楽の薫り。

函にややイタミ、本体は良好な状態です。

虚飾とともに栄華を極めたサロンを渡り歩いた伝説的な社交家の生涯を丁寧に追う、優れた作品です。

カサノヴァという人物を通して古い社交界の文化、その栄華盛衰にも触れられる一冊。

極めてユニークな書籍となっています。

アンリ・ミショー「試練・悪魔祓い」 小海永二訳 1972年 サンリオ出版初版

フランスが生んだ孤高の先鋭・ミショーによる限りなく不吉で優美な文学。

彼の全集の翻訳をてがけ、日本の詩壇へと多くの功績を残した小海永二による名訳作品が入荷しています。

経年のヤケ、スレなどはあれど、本文には支障なし。

ミショーの肖像を大胆にあしらった装丁もユニークです。

タイトルを追うだけで、神経に畏怖を擦り込まれるような生々しい幻想を感じます。

その晩年まで制作に打ち込みながらも、どの潮流にも乗らず独自の美を追求したミショー。

彼の追い求めた痛むような緊張の一端に触れる事が出来る良書となっています。

バタイユ「淫らの塔」 生田耕作訳 1983年 サバト館 訳者署名入り美本

煽情的でありながら、限りなく美しい文学を生み出したバタイユ。

日本においてその普及に多大なる影響を与えた生田耕作とサバト館による一冊。

訳者署名本になります。

影に吸い込まれそうになる、漆黒の想定。官能的なラベル様のタイトル。

端正な署名と、書籍本体の保存状態も良好です。

丁寧な漉き見える本文用紙に並ぶバタイユと生田耕作の美学、その一字一句への陶酔。

挿絵も多く、かつ美麗です。

近年、再び注目の高まる文学、アートに於けるエロティシズムとその表現。

危うくも美しいその世界への耽溺を誘う、魅力ある作品です。