高橋睦朗「詩人の血」 1977年 小沢書店初版 著者署名入り

長くキャリアの中で多くの作品を発表し、現在も精力的に活動する現代詩人・高橋睦朗の詩集。

1970年代刊行、署名入りの物が入荷しております。

独特な味のある署名、函入りながら軽く持ち易い造本。

伝統に則った短歌から奔放な切れ味の現代詩まで幅広い筆致を納めた高橋睦朗の作品。

強い印象を持った作品群。

詩の鑑賞に親しくない方にもおススメしたい、美しい表現に溢れた一冊です。

寺山修司「暴力としての言語」 1970年 思潮社初版 帯付き

詩、舞台、映画、美術、様々な形式を横断しながら日本の芸術史の一角に今も強く輝く寺山修司。

強烈なインパクトを残すタイトルと共に、彼の詩論、芸術論を記した一冊。

詩論まで時速100キロの副題通りに、暴れるような活力を宿した一頁一頁。

殴り書いたような卍の鮮烈。

寺山の海外渡航時のエピソードなども交え、ユニークな言葉の数々に没頭してしまいます。

抵抗者の持ち物としての言語や文化に関する力ある論考には、現在に於いて益々鮮やかに響く物があるように感じます。

寺山ファンのみならず愉しめる良書です。

稲垣足穂「緑の陰」 1987年 沖積社初版 函帯付き

稲垣足穂の生涯のテーマの一つ「A感覚」にまつわる作品を集めた沖積社の意欲的な単行本。

クロス装が佇まい良く映える一冊です。

余白を大きく取り、すっきりとした本文。

しかして内容は当然ながら濃醇なタルホの「A感覚」系作品。否応なくまわる強いアルコールに似たコスモロジー。

足穂の作品集を多く刊行した沖積社ならではの作品セレクトは流石と唸らせます。

桐生操「きれいなお城の呪われた話」 1992年 大和書房初版 帯付き

フランス留学中に知り合った二人の女性による共同ネームにて刊行された、ヨーロッパに纏わるお城と怪奇の幻想譚。

二人のヨーロッパ貴族文化に対する愛と探究心によって綴られる、妖しく不可思議な美麗怪談。

目次を飾る様々な言葉には、幼少期に布団を被って恐る恐る見知った夢見混じりの恐怖が思い出されます。

一つ一つのエピソードもとても秀逸で、味わい深い物となっています。

どこか懐かしい手触りを備えた怪談話は、西洋の古城という入れ物にもヒンヤリと馴染むようです。

サンダスン「この世界を見よ」 1987年 アスタルテ書房 限定300部函付き極美完本

イギリスにて私家版を主として制作する印刷所を設立し、気高い思想をもってヨーロッパの装丁文化に影響を与えたサンダスン。

生田耕作訳・署名入り、当店刊行の「この世界を見よ」。極めて程度の良い完本となります。

「工芸の理想」「美しい書物」の二編を収録。良質な紙、刷り、製本。

書物としての美しさ、を追求したサンダスンによる、高潔で奥ゆかしい書物論が綴られています。

所謂ブックデザインとはまた違う、書物がただ美しくある為の洗練を極めた装丁の美。

その真髄に迫る、まさに美しい書物となっております。

須永朝彦「須永朝彦小説全集」 1997年 国書刊行会初版 著者署名入り 函帯付き

凄味のある函絵に、頑強な造本が見事な国書刊行会による須永朝彦小説全集。

著者署名入りにて、97年のボリュームある良書です。

筆書きの味わいある署名が緑の紙に映えます。

小説は流石の須永朝彦作品、耽美と幻想の入り混じる美文が溢れ出します。

充実の内容ながら二段組みは採用せず、極めて読み易く作られています。

長期の休暇のじっくり付き合う友人に、また日々少しずつ楽しむ甘菓子のように、是非お楽しみ下さい。

加藤郁乎「閑雲野鶴抄」 1999年 沖積社初版 函帯付き美本

奔放な文の中に煮えたぎるような詩情を納めた祝詞のような詩群。

俳人にして詩人たる怪人・カトウイクヤの詩集、状態の良い物が入荷しております。

堅実な装丁を捲れば宙に舞う、アルコールを多分に含んだ眩暈の数々。

彼のみが持ち得た、浮遊し煌めく言葉の美しさが詰まった玩具箱とパンドラの混合物。

読む度に抜群に効き、耐性もつかない詩情の処方。

カトウイクヤ未読の方にもお勧めしたい一冊です。

澁澤龍彦「華やかな食物史」 1984年 大和書房初版 帯付き

澁澤龍彦によるグルメ本、とくれば面白くない訳がなく、自由な筆致があらゆる時代の食卓を飛び回る快書。

年末年始のご馳走の合間に知識欲とも満腹を。

古代ローマから土方巽へ、クレオパトラから親しい友の食卓まで。

美味しい物を思い描く時、人はどうしても嬉しくなってしまうようです。

少ないながらもキメの図版のセレクトは流石。

大和書房のスパイスの効いた装丁も雰囲気良しです。

一流の書き手による食のレポートはやはり極めて美味しく、また愉しく。

空腹時の読書に是非お手にお取り下さいませ。

クリス/クルツ「芸術家伝説」 大西広/越川倫明/児島薫/村上博哉訳 1989年 ペリカン社初版 帯付き

古今東西、あらゆる装飾を施されて語られ、伝えられてきた「芸術家の伝説」。

その実像を数多の資料を用いて詳らかに描き出す名著。ペリカン社刊行の意欲作。

目次にて湧き上がる好奇心を裏切らない、充実の内容。

まさしく幻想譚や神話の如き、芸術家を彩る様々な逸話を相手取り語り口は実直です。

巻末の圧倒的な資料、索引のボリュームに、三名の訳者の奮闘を思う素晴らしい作品。

美術ファン、また幻想小説愛好家の方にもお勧めを致します。

モリオン「閉ざされた城の中で語る英吉利人」 ベルメール挿画 生田耕作訳 1989年 サバト館初版 訳者署名入り 函付き

ピエール・モリオン名義で出版されたマンディアルグの、道徳的なる物への破壊の書。

生田耕作訳、署名入り。サバト館刊行の名著です。

状態はとても良好にて、漆黒の装丁が目を引きます。

頁の折々にベルメールの銅版画作品が別刷りのカードとして付されており、作品世界により深い闇を与えています。

目を背ける事も出来ない目眩くような悪徳の美に引きずりこまれるような、恐ろしくも魅力的な一冊となります。