ユリイカ「臨時増刊 禁断のエロティシズム」 1992年 青土社美本

時代の求める優れた特集を多く組む、名雑誌ユリイカ。

1992年刊行の臨時増刊にて、エロティシズムを主題にした一冊。状態はとても良好です。

抽象的ながら躍動感に目を惹かれる表紙、その鮮烈な真紅。

多くの名著家と芸術家の名が並ぶ目次に圧倒されます。

カラーの図版も相当な量を収録し、またそのセレクトのひとつひとつがマニアックかつハイレベルです。

澁澤龍彦によるゾンネンシュターンの評論も掲載。

美術誌、文芸誌、評論誌、そういった存在のあるべき姿を鮮やかに体現したような1992年のユリイカ。

その熱と切れ味に脱帽してしまう、優れた仕上がりになっています。

河村錠一郎「世紀末の美学」 1986年 研究社出版初版

イギリス美術の研究家にして、ビアズリー関連の多くの著作を持つ著者。

その知見溢れる、世紀末芸術への一大展望。研究社出版刊行の良質な一冊が入荷しています。

帯、表紙、本体、良好な状態です。

目次に踊る数々の単語に、すでに引き込まれるような高揚を感じます。

図版も豊富に差し込まれ、時代毎に必ず訪れる世紀末という空気の豊穣を存分に味わえる内容です。

頽廃と混乱と、感傷と抒情とに彩られた世紀末。

その麗しい世界の機微を愉しめる、読み応えある一冊。お勧めを致します。

窪田般彌「孤独な色事師 ジャコモ・カザノヴァ」 1972年 薔薇十字社初版

稀代の好事家にして芸術家、カサノヴァ。

その放蕩の代名詞たる彼の研究に没頭した訳者による魅力溢れる一冊、薔薇十字社の意欲的な刊行。

マスタード色を基調とした装丁に漂う、どこか悲しげな享楽の薫り。

函にややイタミ、本体は良好な状態です。

虚飾とともに栄華を極めたサロンを渡り歩いた伝説的な社交家の生涯を丁寧に追う、優れた作品です。

カサノヴァという人物を通して古い社交界の文化、その栄華盛衰にも触れられる一冊。

極めてユニークな書籍となっています。

アンリ・ミショー「試練・悪魔祓い」 小海永二訳 1972年 サンリオ出版初版

フランスが生んだ孤高の先鋭・ミショーによる限りなく不吉で優美な文学。

彼の全集の翻訳をてがけ、日本の詩壇へと多くの功績を残した小海永二による名訳作品が入荷しています。

経年のヤケ、スレなどはあれど、本文には支障なし。

ミショーの肖像を大胆にあしらった装丁もユニークです。

タイトルを追うだけで、神経に畏怖を擦り込まれるような生々しい幻想を感じます。

その晩年まで制作に打ち込みながらも、どの潮流にも乗らず独自の美を追求したミショー。

彼の追い求めた痛むような緊張の一端に触れる事が出来る良書となっています。

バタイユ「淫らの塔」 生田耕作訳 1983年 サバト館 訳者署名入り美本

煽情的でありながら、限りなく美しい文学を生み出したバタイユ。

日本においてその普及に多大なる影響を与えた生田耕作とサバト館による一冊。

訳者署名本になります。

影に吸い込まれそうになる、漆黒の想定。官能的なラベル様のタイトル。

端正な署名と、書籍本体の保存状態も良好です。

丁寧な漉き見える本文用紙に並ぶバタイユと生田耕作の美学、その一字一句への陶酔。

挿絵も多く、かつ美麗です。

近年、再び注目の高まる文学、アートに於けるエロティシズムとその表現。

危うくも美しいその世界への耽溺を誘う、魅力ある作品です。

澁澤龍彦「黄金時代」 1971年 薔薇十字社 初版函帯付き 著者署名入り美本

没後30年を経て、今なおファンを増やし続ける澁澤龍彦。

名著「黄金時代」の程度の良い署名本が入荷しております。

深い緑に黄金の箔押しが見事な装丁、薔薇十字社の確かな仕事が光ります。

署名にもゴールドのペンを使う澁澤龍彦の遊び心。

奔放に、執拗に、自らの好奇心を掘り下げる様な充実した内容も素晴らしいです。

多くの著作と、多くの影響を振り撒いて旅だった澁澤龍彦。

その「黄金時代」の息遣いを感じる、優れた書籍のひとつとなっています。

龍膽寺雄「風-に関するエピソード」 1976年 サバト館美本

サボテン研究家としても知られる奇才・龍膽寺雄による短篇作品。

1946年に刊行された一冊のサバト館による復刊です。

フランス装の表紙に刷られた、どこか陰鬱な風景。

水色の配色が効果的に使用されています。

読者カード・刊行案内付き、状態も美しく保たれています。

愛好家も多く、現在高額になる事もある龍膽寺雄の著作。

入手の難しい過去の名作を多く掘り起こしたサバト館の重要な結実でもある一冊です。

ソールタス「太陽王女」 生田文夫訳 2003年 エディション・イレーヌ

「アンドレ・ブルトン没後50年記念展」に際しての目覚しい刊行や、リゴー「自殺総代理店」などの埋もれた名作の復活と、鮮やかな出版を続けるエディション・イレーヌ。

2003年刊行のソールタス〈紫と美女〉短篇叢書の三番、状態の良い物が入荷しております。

宇野亞喜良の誘い込むようなイラストの表紙に、深みのある色・紙質の装丁。

薄く小さな本ながら、強い存在感を示す優れた造りです。

正方形の版型に組まれた、端正な文字と物語。

生田文夫の訳も味わい深く冴えています。

出版、装丁、そして翻訳の三つが織りなす珠玉の小品。

是非お手に取ってその美しさを感じて欲しい一作となっております。

小栗虫太郎「紅殻駱駝の秘密」 1970年 桃源社 初版 函帯読者カード付き

日本探偵小説三大奇書として名高い「黒死館殺人事件」の著者・小栗虫太郎、その最初期の作品「紅殻駱駝の秘密」。

桃源社の熱意ある造本にて、1970年刊行の物が届いております。

怪しげな配色の函に納められた漆黒の装丁、真紅に踊るシルバーのタイトル。

帯、読者カードも付属し、良い状態を保っています。

二段組みの本文、みっしりと詰まった文字から香る物語の体温。

付随する小伝も充実した内容です。

惜しまれつつも若くして急逝した小栗虫太郎。

現在も読まれ続けるその独自の世界に浸れる良著になっています。

ベルメール「素描画集」 1966年 銅版画一葉付き特装本

特異な球体関節人形で名を馳せ、多くの絵画・立体作品を制作したベルメール。

彼の遺したスケッチや試作画を網羅しその美学を追う貴重な一冊、1966年刊行の特装本。

GalleryLucifer presents「ハンス・ベルメール作品展-交感する身体-」出展作品です。

艶かしい赤味のクロス函、表紙に未綴じタイプの頁を採用し、膨大な量の作品を納めています。

制作年代を追っての解説を付し、膨大な量の図版を補強。

印刷の質も素晴らしく、微弱な線のニュアンスもとても良く再現されています。

驚くべき技術で幻想に生々しい痛みを宿らせたベルメール。

その作品世界を網羅した、素描画集として素晴らしい完成度を誇る一冊になっています。