ジュネ「アダム・ミロワール」 一羽昌子訳 コーベブックス 昭和52年 初版 332/970限定

その美しい装丁と選書で今なお愛好家を唸らせる伝説の出版社・コーベブックス。

銀色の表紙を手繰れば溢れ出すジュネのポエジーを、一羽昌子の名訳にて愉しめる一冊。

帯欠けながら、ビニールで保護された函と本体は極めて良い保存状態です。

大きく贅沢に取られた余白に、必要最小限のインフォメーション。

削ぎ落とされた装飾から溢れ出す芳醇な詩の世界。

多くの作品を収録する全集や、一つの世界を完結させる単行本とはまた違った、いくつかの詩のみを丁寧に綴じたブックレット。

手の中にあって震えるように繊細なその美しさを、是非お確かめ下さい。

田辺貞之助「夢想の詩学」 牧神社 昭和52年 初版帯

ユイスマンスやゴーティエなどの翻訳で知られ、膨大なフランス文学の翻訳に尽力した田辺貞之助。

夢想の詩学と題されたこの著作においては、その翻訳を通して得た多くの美が詳細に綴られています。

シンプルな函から抜ける、鮮烈な赤の表紙が見事なデザイン。

目次にはフランス文学の重要な人物の名が大量に並びます。

作品から、また人物から、物語に織り込まれたフランスの詩情が丁寧に読み解かれてゆきます。

海外文学の翻訳という難業に挑む文人の、深く繊細な洞察力。

そこから立ち現れる「夢想の詩学」に容易く耽溺できる、優れた書籍です。

稲垣足穂「ライト兄弟に始まる」 徳間書店 昭和45年 初版函帯美本

少年愛、天体、機械や煙草への偏愛など、タルホ作品を形作る多くの要素にあって、非常に重要な位置を占める飛行機。

単行本一冊分を使ってなお語り尽くせぬ愛に溢れたヒコーキ論に陶酔できる一冊です。

函、帯、本体、全て状態良好です。

目の覚めるような青の見返しの挟まれた粋で堅牢な造本は大手出版社ならでは。

ライト兄弟に始まりタルホの心に息づくプロペラ機たちの記憶と幻想。

一人の愛好家少年のようなキラキラとした視線が覗くような、甘美な筆の運び。

耽美と純粋の入り混じったタルホ・コスモロジーへの入り口としても楽しい一冊。

是非お手にとってお楽しみ下さい。

 

 

古沢岩美「画集 千夜一夜物語」 ノーベル書房 昭和50年 初版函極美

日本における初期シュルレアリスム運動に活躍し、独自の絵画を完成させた古沢岩美。

アラビアンナイトを画題とした大判の美麗画集が店頭に届いております。

函、本体ともにとても綺麗な状態です。

カラー図版も圧倒的な量を収録し、白黒ページの印刷も細部の描き込みまで美しく出ています。

巻末には往年の画家・古沢岩美のアトリエでの姿やインタビューも掲載。

その作品、その姿に、ファンのみならず引き込まれる、充実した内容の画集になっています。

酒井潔「奴隷祭」 竹酔書房 昭和6年 初版函

大正末期からのエログロナンセンス文化を牽引し、澁澤龍彦ら後の文人へも強い影響を与えた酒井潔。

彼の代表的な著作「談奇集」より二作目「奴隷祭」が入荷しております。

戦前刊行につき函、表紙にはイタミなどあり。

本文は比較的良い状態を保っています。

躍動感のある豊富な図版に、煽情的なタイトルが並びます。

鞭打ちに焦点を当てて描き尽くされるエロス奇譚の数々。

その饒舌な語り口に、酒井潔の文筆の妙を味わえる一冊です。

江戸川乱歩「黒蜥蜴」 ふじ書房 1946年初版

通俗小説の流れに在りながら江戸川乱歩の代表作として有名な「黒蜥蜴」。

ふじ書房による1946年発行の物を入荷してございます。

強烈に主張してくる黒×赤の装丁。

扉のデザインにも味わい深さがあります。

経年のヤケはありつつも、本文には支障なし。

怪しく珍奇な様々が整列する乱歩の世界へ否応無く誘われてゆきます。

日本を代表する推理・探偵小説家として、また随一の奇譚の語り部として現在も愛好家を増やし続ける江戸川乱歩の代表作。

深い夜のお供の一冊に是非のお勧めを致します。

ジョゼフ・ケッセル「ライオン」 多田智満子 訳 日本ブリタニカ 1981年初版

ケッセルの名作動物文学「ライオン」とケレックの美麗な絵による豪華な絵本。

多田智満子による名訳にて、印象深い一冊となっております。

深みのある色彩に際立つ動物たちの艶かしさ、大判の頁に緻密に織り出される物語。

絵本という体裁ながら、文学作品としての高い完成度があります。

遠い異国への郷愁、人と動物たちの鮮やかな生命の躍動、それらを克明に描く人智の結晶。

絵と文学と翻訳の三者が創りだす無二の世界を味わえる名作です。

吉井勇「歌集 流離抄」 創元社 1946年初版

静けさに歩む歌の水辺に夢幻のイメージをひそませた吉井勇による歌集「流離抄」。

創元社版1946年発行のとても美しい一冊です。

扉、外装などにシミ・ヤケなどございますが、本文は概ね良好です。

ごく薄く漉かれた紙に終戦翌年の物資の窮乏を思わせど、丁寧に印刷された歌の、文字のひとつひとつに情感が滲むようです。

後の日本の幻想・耽美文学へも受け継がれた、吉井勇の上品にして自在な歌の魅力。

質の良いアルコールにも似た心地よさを是非お楽しみ下さい。

荒俣宏 訳「ダンセイニ幻想小説集」 創土社 1972年初版函帯

自ら団 精二を名乗り翻訳を行うなどダンセイニ作品への愛着をうかがわせる訳者による幻想小説集。

創土社刊行の熱量あふれる一冊です。

凄味の漂う装丁、図版や資料なども充実しています。

密に組まれた本文と、幻惑的な物語のもたらす酩酊感。

とても「濃い」仕上がりとなっています。

分厚く濃密な一冊ながら、容易にその中に溺れてゆく事ができる良著。

ダンセイニ作品への入り口としてもお薦め致します。

コクトー「フランソワの薔薇」 高橋洋一 訳 森開社 1975年 限定79/500番

現在も厳選されたタイトルを麗しい装丁で刊行しファンを魅了し続ける森開社。

設立初期にあたる70年代発行のジャン・コクトー「フランソワの薔薇」が入荷してございます。

必要最小限にして最も美しい本の佇まいに、添えられた薔薇一輪。

雪を踏む音にも似たコクトーの詩に、高橋洋一の翻訳が光ります。

付録のプリント一枚、本文と共にヤケなどなく良い保存です。

作品として、書籍として、その繊細さの中に忘れ得ぬ力強さを感じる素晴らしい一冊です。

是非店頭にてお手にお取り下さいませ。