相澤啓三 著 / 横尾龍彦 畫「魔王連祷」 1975年 西澤書店初版 帯付き

ボードレール著「悪の華」を挟んで対峙する、詩人・相澤啓三と美術家・横尾龍彦の精神が衝突する。

暗く重く、熱い一冊。

呪詛にも祝詞にも通ずる、ヒリヒリと心を苛む言葉と、フェリシアン・ロップスの描く悪徳の如く心胆寒からしめる版画の暴威が紙上でせめぎ合います。

別刷りのタイトル索引など、書籍自体も凝った造りで、良書を多く作り上げた西澤書店らしい仕事と言えます。

現代のコラボレーションや共作とは一風違った味わいの本作は、若かりし二人の作家だからこそ作り得た強靭さを感じ、とてもユニークな出来栄えとなっています。

稲垣足穂「柳生家=化物コンクール」 1990年 人間と歴史社初版 函付き美本

没後40年を経ても多くの出版社からの新刊が止まず、真に時代を超えて愛される偉大なるタルホ文学。

人間と歴史社より刊行の小振りな一冊は、収録作品・ブックデザインともに新鮮な仕上がりとなっています。

無機質ながらどこか温かみのある銀色の表紙、インパクトのある目次、ページ一杯に広がる本文など際立つセンスを感じます。

小振りなサイズながら充実した作品セレクトで、ファンにとっても非常に満足感があります。

規定という場所の外へ外へと向かうような造本は、確かにタルホ氏本人にも喜ばれそうな魅力があります。

是非店頭にてお手に取って頂きたい一冊です。

荒俣宏「99万年の叡智」 1985年 平河出版社初版 帯付き

今尚、息をするようにあらゆる知識を求め精力的な活躍で世を驚かせる荒俣宏。

本書にては人類が積み重ねてきた多くの学問の内、陽の目を見なかったあらゆる叡智と日陰に生きた求道者たちを語り尽くしています。


豊富にあり、豊富になればなるほど混乱してしまうようなユニークで希少な図版を多数収録。

野心的で目を驚かせるようなデザインも心憎い造りです。

アメリカで独自の発展を遂げたオカルティズムや中華圏の秘密結社群像、歴史的な学者たちの忘れ去られた神秘学説など、目眩のするような奇妙のオンパレード。

1980年代における学問のマイノリティ百科とも言うべき、稀にみる内容の濃さと分量を備えた良書です。

「野中ユリ画文集」2002年 神奈川県立近代美術館刊行

2002年に神奈川県立近代美術館での個展の際に刊行された美しい本。

手の届かない場所で煌めくような、野中ユリの作品世界へ。

ビニールカバーで保護され、図録らしい堅実な造り。紙質も良いものです。

発色の落ち着いた印刷、また文章作品との調和がページ上で取られており、画文集として素晴らしい完成度です。


作家に縁のある人物へのモチーフとした作品もあり、作家の暖かい感情が満ちる麗しさ。

非常に端正な一冊となっております。

小栗虫太郎「金字塔四角に飛ぶ」 1976年 桃源社初版帯付き

一級の奇書「黒死館殺人事件」の作者・小栗虫太郎によるタイトルからして奇怪な一冊。

桃源社刊行、函帯付きの入荷がございます。

1900年代初頭よりの日本の異端文学を多くリリースした桃源社。

帯の一文にも熱が入ります。

二段組本文、巻末評伝とおなじみの手厚く情熱的な本作り。

ファンにも初読者にとっても有難い充実度です。


小栗虫太郎独自の世界を堪能出来る一冊、是非吟味下さいませ。

国枝史郎「神州纐纈城」 1969年 桃源社4刷 函帯読者カード付き

「三田文学」「青鳥会」などに参加し、耽美・幻想文学の愛好者に高い評価を受ける国枝史郎。

桃源社によりその名を知らしめた代表作、重版物をお手頃な値段で入荷してございます。

函帯付き、60年代末の書籍にしては状態は良好です。

ワインレッドを基調とした印象的な装丁。

巻末の作者評伝も充実の内容。

未完作品ながら本文二段組を要するボリュームに、作者の執筆への情熱が伺えます。

その繊細な湿度を帯びた美文の強い中毒性、是非お楽しみ下さい。

野村胡堂「胡堂百話」 1959年 角川書店初版 函帯読者カード新刊スリップ付き

「銭形平次」の執筆者として知られ、洒脱な日本文化に親しんだ野村胡堂。

角川書店より刊行のエッセイ集に漂う軽妙で心地よい筆致。

シンプルながら目を引く函、丁寧な本体の造り。

経年のイタミはあれどその分気軽に頁を繰れるやも知れません。

泉鏡花への言及も。

読者カード、新刊スリップも付属しています。

極短い文章を多く収録しながらも、一つ一つの語りの濃さを楽しめる良著となっています。

唐十郎「雨月の使者」 合田佐和子挿画 1996年 エー・ジー出版初版 帯月報付き美本

唐十郎の書くポエジーと、合田佐和子の創るイメージの溶け合い、そこから立ち昇る圧倒的な美。

エー・ジー出版よりの意欲作、極美本を入荷しております。

画集と言っても差し支えないボリュームの合田佐和子作品の占める頁数。

唐十郎の言葉の熱を帯びた氾濫。

丁寧な印刷と文字組、書籍としてしっかりとした造りをも有しています。

現在も静かに、精力的に活動を続ける二者の、その真摯な美学の共演が素晴らしい良書となっています。

中田耕治「メディチ家の人々」 1979年 集英社初版

評伝の名手・中田耕治によるメディチ家を巡る壮大にて美細な一冊。

その名家の眩暈のするような足取りに引き込まれます。

詳細な目次を追うだけで掻き立てられる好奇心、かすかな後ろめたさ。

巻頭に付属の家系図も見所です。

「わが家にカインはいらぬ」。

金色に彩られた仄暗い名言の数々。

中田耕治のキレのある美文と、往時の社交界での様々の親和性。

是非のご一読をお勧め致します。

澁澤龍彦「犬狼都市」 1962年 桃源社初版 函ヤヤイタミ 正誤表付き完本

澁澤龍彦の人気作の一つ「犬狼都市」。

桃源社より刊行の元版は品の良い造りが随所に見られるとても美しい一冊です。

函には斑状のイタミあり、本体はビニールに守られ本文、表紙ともに極美しく保たれています。

正誤表付きの完本になります。

グレーの表紙に金の枠。グリーンで刷られた文字。

小さくカットされた箔押しのタイトルプレートはサバト館の本にも多く見られるスタイルです。

翻訳家のみならず、小説家としてもユニークな才を発揮した澁澤龍彦。

初期の冠小説として今なお多くの読者を魅了する素晴らしい作品です。