唐十郎「雨月の使者」 合田佐和子挿画 1996年 エー・ジー出版初版 帯月報付き美本

唐十郎の書くポエジーと、合田佐和子の創るイメージの溶け合い、そこから立ち昇る圧倒的な美。

エー・ジー出版よりの意欲作、極美本を入荷しております。

画集と言っても差し支えないボリュームの合田佐和子作品の占める頁数。

唐十郎の言葉の熱を帯びた氾濫。

丁寧な印刷と文字組、書籍としてしっかりとした造りをも有しています。

現在も静かに、精力的に活動を続ける二者の、その真摯な美学の共演が素晴らしい良書となっています。

中田耕治「メディチ家の人々」 1979年 集英社初版

評伝の名手・中田耕治によるメディチ家を巡る壮大にて美細な一冊。

その名家の眩暈のするような足取りに引き込まれます。

詳細な目次を追うだけで掻き立てられる好奇心、かすかな後ろめたさ。

巻頭に付属の家系図も見所です。

「わが家にカインはいらぬ」。

金色に彩られた仄暗い名言の数々。

中田耕治のキレのある美文と、往時の社交界での様々の親和性。

是非のご一読をお勧め致します。

澁澤龍彦「犬狼都市」 1962年 桃源社初版 函ヤヤイタミ 正誤表付き完本

澁澤龍彦の人気作の一つ「犬狼都市」。

桃源社より刊行の元版は品の良い造りが随所に見られるとても美しい一冊です。

函には斑状のイタミあり、本体はビニールに守られ本文、表紙ともに極美しく保たれています。

正誤表付きの完本になります。

グレーの表紙に金の枠。グリーンで刷られた文字。

小さくカットされた箔押しのタイトルプレートはサバト館の本にも多く見られるスタイルです。

翻訳家のみならず、小説家としてもユニークな才を発揮した澁澤龍彦。

初期の冠小説として今なお多くの読者を魅了する素晴らしい作品です。

沼正三「家畜人ヤプー」 都市出版社 1970年重版 函付き

その余りに奇妙で反道徳的な内容から多くの物議を醸し、トラウマを遺した「家畜人ヤプー」。

連載時原稿に近い初期型の単行本として今も人気の高い都市出版社版が入荷しております。

函にイタミ・ハガレあり。

本体はパラフィンに保護され比較的良い状態です。

二段組みの本文と挿絵は緑のインクで印刷をされ、読みやすい中に奇異な印象を閉じ込めています。

反道徳、反体制、反男性主権、残忍なまでの逆行が誘うめくるめく倒錯に、いつしか快く溺れてしまうような作品です。

鷲巣繁男「ポエーシスの途」 牧神社 1977年初版 函付き

古代と異端の詩歌に耽溺し、独自の地位を確立した詩人・鷲巣繁夫。

上質なクロス装も美しい牧神社刊行の名著「ポエーシスの途」、1977年の物です。

函に経年のイタミややあり、本体は状態良く保たれています。

箔押し、マーブル紙など、凝った装丁。

多くの作例を引きながらも、読みやすく組まれた版の美しさ。

多くの文学と言語の内に、グノーシス的なる自らの文学世界を作り上げた鷲巣繁夫。

彼の詩神へいたる旅路の一端が垣間見えるような強い印象を残す一冊となっています。

饗庭孝男「石と光の思想」頸草書房 1980年重版 函付き

日本と西洋の思想・文化への深い思索をもってフランス文学の研究に大いなる足跡を残した饗庭孝男。

若き日に目にしたヨーロッパの姿を瑞々しい感性で記した著作、頸草書房版を入荷しております。

空のような、若しくは鉱石のような装丁が印象的。

函、本体ともに良好な状態です。

シンプルながら要所で感じる遊び心、切り取り方の上手い図版など楽しく読み進められます。

ヨーロッパを丁寧に、新鮮に読み解くような内容に、著者の文化への誠実さを見るよう。

西洋文化論への入り口としてもオススメを致します。

日夏耿之助「サバト恠異帖」 国書刊行会 1987年初版

現在も素晴らしい書籍群を次々と刊行しファンを唸らせる国書刊行会によるクラテール叢書の6番。

東西の恠異を饒舌に、かつ緻密に語り尽くす怪奇・幻想ファン必携の一冊が到着しております。

シンプルに取られた扉、圧倒的な密度で書かれる恠異の数々。その夜の深さ。

図版の刷りも美しく、しっかりと闇を浮かび上がらせています。

翻訳家・文筆家として多くの学識を呑み込んだ日夏耿之助。

その闇夜の濃い部分を丹念に抽出したような良書となっています。

バタイユ「淫らの塔」 生田耕作訳 1983年 サバト館 訳者署名入り美本

煽情的でありながら、限りなく美しい文学を生み出したバタイユ。

日本においてその普及に多大なる影響を与えた生田耕作とサバト館による一冊。

訳者署名本になります。

影に吸い込まれそうになる、漆黒の想定。官能的なラベル様のタイトル。

端正な署名と、書籍本体の保存状態も良好です。

丁寧な漉き見える本文用紙に並ぶバタイユと生田耕作の美学、その一字一句への陶酔。

挿絵も多く、かつ美麗です。

近年、再び注目の高まる文学、アートに於けるエロティシズムとその表現。

危うくも美しいその世界への耽溺を誘う、魅力ある作品です。

澁澤龍彦「黄金時代」 1971年 薔薇十字社 初版函帯付き 著者署名入り美本

没後30年を経て、今なおファンを増やし続ける澁澤龍彦。

名著「黄金時代」の程度の良い署名本が入荷しております。

深い緑に黄金の箔押しが見事な装丁、薔薇十字社の確かな仕事が光ります。

署名にもゴールドのペンを使う澁澤龍彦の遊び心。

奔放に、執拗に、自らの好奇心を掘り下げる様な充実した内容も素晴らしいです。

多くの著作と、多くの影響を振り撒いて旅だった澁澤龍彦。

その「黄金時代」の息遣いを感じる、優れた書籍のひとつとなっています。

龍膽寺雄「風-に関するエピソード」 1976年 サバト館美本

サボテン研究家としても知られる奇才・龍膽寺雄による短篇作品。

1946年に刊行された一冊のサバト館による復刊です。

フランス装の表紙に刷られた、どこか陰鬱な風景。

水色の配色が効果的に使用されています。

読者カード・刊行案内付き、状態も美しく保たれています。

愛好家も多く、現在高額になる事もある龍膽寺雄の著作。

入手の難しい過去の名作を多く掘り起こしたサバト館の重要な結実でもある一冊です。