同人誌「復刻 薔薇魔術学説」 西澤書店刊行復刻版

北園克衛により刊行され稲垣足穂などが参加した、日本最初期のシュルレアリスム文芸誌「薔薇 魔術 学説」。

西澤書店による名著復刻版を入荷しております。

表紙デザインを含め、非常に野心的な作品の数々は、現代においても奇異かつ鮮烈。

その美しさに不意な眩暈すら起こしそうな驚きを感じます。

四冊の冊子に、復刻版ならではの解説が付属します。

五冊目以降が続いていたら、と思わずにはいられない、濃密な作品たち。

海外シュルレアリスムの流入直後に起こった国内の文人たちによる、最初のリアクションの麗しい記録。

その色褪せない美をじっくりとご堪能頂けます。

中井英夫「香りの時間」 大和書房 初版帯付き

黒鳥館主人・中井英夫の嗜好の奥深くが覗きみえる随筆集、「香りの時間」。

大和書房刊行、帯付きの美本が入荷してございます。

シンプルな装丁ですが、装画や落ち着いた色味に丁寧な印象を受けます。

時に明朗に、時に難解に語られる様々な題材。

そこに現れる鋭く圧倒するような視線。

素晴らしい作品としての随筆と、素晴らしい作品へ至る記録としての随筆。

中井英夫ファンならずとも、多くの読者の感性に響く良作です。

 

塚本邦雄「短篇集 連弾」 筑摩書房 初版函帯付き

多くの歌集を残した塚本邦雄は、またその美学の発露として幾つかの短篇小説集を刊行しています。

筑摩書房の堅牢な装丁にて、短篇集「連弾」が入荷しております。

目次の並びにも表れる塚本邦雄なる感性。

短歌において見られた眩惑的でむせかえるような言葉が、より克明に世界を撫でる感覚。

整然と並ぶ文字の流れに与えられる美しさ。

歌集のみならず、随筆集、そして短篇集にても奔放に流れ出す塚本邦雄の美文。

銘酒に溺れるような密な読書をお楽しみ下さい。

種村季弘「影法師の誘惑」 冥草舎 初版1500部発行函帯付き美本

童心に潜む影の世界、幼年期の妖しい美学。種村季弘の誘う子供の世界。

冥草舎より初版1500部発行の貴重な一冊。

シンプルな装丁ながら、革背装に堅牢な函、厚手の本文用紙に書物への敬愛を感じます。

図版、資料画像なども多く、より克明に子供たちの失われた幻想の世界を再発見してゆきます。

風景や玩具、ふとした何かとの邂逅に突然思い起こされる幼年期の神秘な感覚。

それらを頼りに読み進める本書の魅力は決して戻れない場所への想いを強く揺さぶるようです。

塚本邦雄「星餐圖」 人文書院 初版函帯月報栞付き極美本

唯一無二の塚本短歌、その不滅の輝き。

塚本邦雄第七歌集「星餐圖」に収められた星々の甘く鋭利な一閃。

頁ひとひらに歌ひとつ。その凛々しく鮮やかな言葉の数々。

付録の栞まで一切のヤケ、シミもなく、ビニールカバーで函も保護されています。

感幻樂、詩歌變など歌集タイトルにも独自の耽美を表す塚本文学。

「星餐圖」のタイトルに相応しい、キラキラとして艶やかな歌の目眩く一時をお楽しみ下さい。

澁澤龍彦「城=カステロフィリア」 金子國義挿画 白水社 初版月報読者カード付き美本

国内外問わずの「城」への偏愛。金子國義挿画の豪華なタッグにて。

書斎からの外出を始めた時期の澁澤龍彦のお城訪問記は、新鮮さと円熟した筆致が味わい深い一冊。

カバー、本文、読者カードに至るまでヤケなどもなく状態良好です。

挿画部分は薄紙にて保護され、カラー印刷。盟友の画業への心遣いも美しいです。

目次に並ぶ大量の城の名前を追うだけでも愉しくなってきます。

城という開かれた地域の象徴でありながら密室としての側面を持つ存在。

その魅力を生き生きと語る言葉にあっという間に引き込まれる良書です。

中野嘉一編「稲垣足穂 全詩集」 宝文館出版 初版函帯月報付き

その多くの作品に詩とも散文ともつかない夢幻の筆致を遺し、硬質なオブジェの中へ酩酊を誘う稲垣足穂。

宝文館より刊行のこちらの全詩集は、初期作品から晩年に至るまでの「詩」として発表された作品を網羅しています。

函背にややヤケありですが、銀の箔押し背タイトルや帯なども状態よく残っています。

極短い文の中に詰められたタルホコスモロジーの彗星の様な輝き。

初期作品の一部は「一千一秒物語」の中に紛れ込んでいそうな、無垢な味わいを感じます。

初出一覧や、詩作品にそった年表も附され、編集の中野嘉一氏の情熱に感服します。

天体、ヒコーキ、煙草、少年愛…。

稲垣足穂お気に入りのテーマに溢れながら纏めて読む機会のない詩作品たちを、どうか心行くまでお楽しみ下さい。

加藤郁乎「書評集 旗の台管見」 コーベ・ブックス 初版函付き美本

俳人にして怪男児、変幻自在の言語で多くのインパクトある美文を文学史に残した加藤郁乎。

伝説的出版社コーベ・ブックスより刊行の書評集「旗の台管見」では、彼の詩情の土壌となった多くの本と出会えます。

やや古風な文字組と、薄緑の上質なクロス装。

コーベ・ブックスの装丁センスにも脱帽です。

稲垣足穂や澁澤龍彦など親交のあった作家は勿論、硬派な作風の吉田一穂、滋味深い中村苑子なと、一寸意外を感じる様な書名も多く見られます。

現在に於いてもコアなファンを中心に支持を集める加藤郁乎の文学世界。

彼にとっての特別な書を集めた一冊は、堅苦しい書評集としてよりはむしろ、無邪気で妖しいブックガイドとしての魅力に満ちています。

海野弘「部屋の宇宙誌」 TBSブリタニカ 初版

ヨーロッパにおいてはその生活の隅々に黙して潜む、神秘と珍奇の符丁。

海野弘による「部屋の宇宙誌」では、家具・インテリアの分野からその多くを拾い上げています。

絢爛な表紙、豊富な図版。

インテリア本らしからぬ単語が飛び交うレポートの数々に心が踊ります。

暖炉、カーテンなどの馴染みのあるインテリアから、チャイニーズルームなど現代ではあまり聞かない様式の物まで。

本好きにとっては書斎を構成する多くの調度品に、新しい興味が芽生えそうなユニークな一冊。

年末年始の大掃除、模様替えの前のご一読に如何でしょうか。

金井美恵子「詩集 マダム・ジュジュの家」 思潮社 初版栞付き

シルバーを基調とした姉・久実子による装画も美しい金井美恵子による詩集。

表題作「マダム・ジュジュの家」を含む多くの詩は、煮えるような情念を氷の声にて語ります。

姉・久実子氏による、繊細で美しい装画が銀の表紙に冷たく映えます。

幻想的なモチーフを多く扱いながら、血と肉ごと自身を抉るような痛切な言葉が抒情を刻み付けてゆきます。

幼き肖像のプリントされた付録の栞と、表題作「マダム・ジュジュの家」。

小説の多い金井美恵子作品ですが、詩集に於いてもその美学は頁のそこかしこに揺るがず、絶えず、水銀のように流れています。