寺山修司「絵本・一千一夜物語」 宇野亞喜良・挿絵 天声出版初版

寺山修司オリジナル・一千一夜にはより怪奇な存在が宿る様です。

宇野亞喜良の官能的な挿絵と、天声出版より。

荒唐無稽、予測不能ながら美しい秩序を感じる寺山の文章に、挿絵の甘美な曲線が絡みつく様です。

折り込みピンナップも野心的な名著。

是非のご一読をおすすめ致します。

鹿島茂「レ・ミゼラブル百六景」 初版美本

当代随一のフランス・マニアにして愛書狂、鹿島茂による初期の著作。

素晴らしい木版図版も豊富な一冊です。

味わい深い木版挿絵、滑らかな鹿島語り。

背表紙にいたるまで抜かりないデザインになっております。

そして圧巻、書籍掲載の木版画家一覧。

現在も精力的に執筆を続ける鹿島茂氏、この本からも強い情熱と愛を感じます。

星川清司「小村雪岱」 平凡社・函付き初版

未だ謎多き画家・小村雪岱。

その生涯を数多の文人の言より描きだした星川清司の名著、初版函美本を入荷しております。

美しい装丁、雪岱画のセレクトも情緒溢れる物です。

鏡花、荷風、瀧太郎…、文人たちの語る言葉によって浮かび上がる画家の穏やかな人柄と、穏やかな芸術家たちとの交流。

近年注目の高まる雪岱装丁本への眼差しをより深くする、ファン必携の一冊です。

谷崎潤一郎「愛なき人々」 改造社版六刷

多くの谷崎文学を世に出した改造社、「愛なき人々」再版本です。

暗めのモスグリーンの表紙にクリームの本文の堆積、端正な装丁。

戯曲形式で描かれる谷崎文学もやはり過剰な耽美と、世俗の中の跳躍に引き込まれます。

再版物につきお求め易いですが、本体、函ともに良好な状態です。

谷崎収拾の入り口としてもぴたりな一冊です。

泉鏡花「照葉狂言」 春陽堂・名家著作集初版

泉鏡花「照葉狂言」、春陽堂大正五年初版、ラベル剥がれ・各部ヤケ、イタミ有り。

しかし天金残り、リーズナブルに当時と同じ書籍にて読書を楽しめる一冊。

ざらり、とした手触りの名家著作集表紙。

本文用紙もヤケが多いですが、文字・印影はしっかりと読み取れます。

極々程度の良い物から、読書には支障のない状態の物まで。

多くの作品を初版本にて読める時代の愉悦を、どうか味わって頂けますよう。

泉鏡花「斧琴菊」 小村雪岱装丁・初版函極美

以前も入荷のあった泉鏡花「斧琴菊」、こちらは草の色も鮮やかな函付きの美本を店頭に置いてございます。

昭和九年初版の書籍ながら、本文頁の紙の白さも眩しく。

どこから見ても鮮やかな保存状態にて、出版当時と同じ手触りの鏡花作品をお楽しみ頂けます。

文字組みの妙は初版本ならでは。

こういった極々程度の良い物から、読むのには支障がない程度のイタミの物まで、出版当時の御本での読書が多くの作品にて楽しめる現代。

是非沢山の方に古書を手に取る喜びを感じて頂ければと、「斧琴菊」「照葉狂言」を前に願います。

稲垣足穂「菫色のANUS」

星と飛行機と少年の守護魔人、稲垣足穂の言わずと知れた短編集「菫色のANUS」。

函付き極美本入荷しております。

洒落た字体のサイン、白色背表紙によく映えます。

正方形に近い版型。タルホ本はメジャーな物からファンブックに至るまで、変形本や珍しい寸法の書籍が多い印象です。

不定形の欲望に、天体と機械との正確無比な煌めきで象を与えるタルホグラム。

これから夜空の住人たちも、花の香気に少し地上を散歩するかも知れません。

お月様と曲がり角で出くわしたら…そんな時慌てずマッチを擦るために、稲垣足穂の書籍も多く取り揃えています。

中井英夫「蒼白者の行進」 極美完本

黒鳥館の応接間より、死後も多くの読者に芳醇な言葉を語りかける中井英夫。

心臓の病と泉鏡花賞を得て最も多作な時期の作品「蒼白者の行進」の静かな熱量。

パラフィンにより保護されており、函・本体ともに痛みヤケ一点もなし。

連作の執筆も多かった時期の筆致に溺れる、緻密に描かれた迷路図を惑う快楽に似た読書体験。

中井英夫作品、小説の他にも随筆、短歌関連など置いてございます。

春の曖昧な暖気がアルコールになる時節、未読の方にも強くおすすめ致します。

矢川澄子「アリス閑吟抄」

伝説的同人誌「未定」同人にして、澁澤龍彦の最初の恋人。不滅の少女。

矢川澄子による詩集「アリス閑吟抄」。玉のように転がる無垢な言霊。

クリームに添えられたミントの様な簡潔な配色に、1980年当時の心を思います。

言葉遊びの中にきりっと結ばれる潔癖な善性と、一方で舌をだして笑っている悪戯っ子の愉しさ。

多面体結晶を思わせるキラキラとした美しさに、純粋に行われる言葉への祈りを感じます。

澄みわたり過ぎた精神とその美貌で、決して安穏な人生ではなかった偉大なる少女。

しかしその言葉に触れる時、私たちもまた得難い幸運の中に彼女の姿を見るのではないでしょうか。

山口椿「雨月物語」 初版帯極美

現代の谷崎潤一郎とも目される、愛と倒錯の小説家・山口椿。

筆者本人の筆による枕絵も妖しく、雨月物語の帯付き極美本です。

表紙デザイン・帯に踊る文字、湿度と共にあるエロス。

巻頭に枕絵を数作品収録、見事な筆さばきです。

鼠色の闇を掻き分け、見てはならない物を見てしまう感覚。そしてまた闇の外の日常へ。

本書の他にも山口椿作品、置いてございます。

現代にも尚盛んに燃え上がる水中花の耽美文学を、是非お楽しみ下さい。