稲垣足穂「ライト兄弟に始まる」 徳間書店 昭和45年 初版函帯美本

少年愛、天体、機械や煙草への偏愛など、タルホ作品を形作る多くの要素にあって、非常に重要な位置を占める飛行機。

単行本一冊分を使ってなお語り尽くせぬ愛に溢れたヒコーキ論に陶酔できる一冊です。

函、帯、本体、全て状態良好です。

目の覚めるような青の見返しの挟まれた粋で堅牢な造本は大手出版社ならでは。

ライト兄弟に始まりタルホの心に息づくプロペラ機たちの記憶と幻想。

一人の愛好家少年のようなキラキラとした視線が覗くような、甘美な筆の運び。

耽美と純粋の入り混じったタルホ・コスモロジーへの入り口としても楽しい一冊。

是非お手にとってお楽しみ下さい。

 

 

古沢岩美「画集 千夜一夜物語」 ノーベル書房 昭和50年 初版函極美

日本における初期シュルレアリスム運動に活躍し、独自の絵画を完成させた古沢岩美。

アラビアンナイトを画題とした大判の美麗画集が店頭に届いております。

函、本体ともにとても綺麗な状態です。

カラー図版も圧倒的な量を収録し、白黒ページの印刷も細部の描き込みまで美しく出ています。

巻末には往年の画家・古沢岩美のアトリエでの姿やインタビューも掲載。

その作品、その姿に、ファンのみならず引き込まれる、充実した内容の画集になっています。

酒井潔「奴隷祭」 竹酔書房 昭和6年 初版函

大正末期からのエログロナンセンス文化を牽引し、澁澤龍彦ら後の文人へも強い影響を与えた酒井潔。

彼の代表的な著作「談奇集」より二作目「奴隷祭」が入荷しております。

戦前刊行につき函、表紙にはイタミなどあり。

本文は比較的良い状態を保っています。

躍動感のある豊富な図版に、煽情的なタイトルが並びます。

鞭打ちに焦点を当てて描き尽くされるエロス奇譚の数々。

その饒舌な語り口に、酒井潔の文筆の妙を味わえる一冊です。

江戸川乱歩「黒蜥蜴」 ふじ書房 1946年初版

通俗小説の流れに在りながら江戸川乱歩の代表作として有名な「黒蜥蜴」。

ふじ書房による1946年発行の物を入荷してございます。

強烈に主張してくる黒×赤の装丁。

扉のデザインにも味わい深さがあります。

経年のヤケはありつつも、本文には支障なし。

怪しく珍奇な様々が整列する乱歩の世界へ否応無く誘われてゆきます。

日本を代表する推理・探偵小説家として、また随一の奇譚の語り部として現在も愛好家を増やし続ける江戸川乱歩の代表作。

深い夜のお供の一冊に是非のお勧めを致します。

吉井勇「歌集 流離抄」 創元社 1946年初版

静けさに歩む歌の水辺に夢幻のイメージをひそませた吉井勇による歌集「流離抄」。

創元社版1946年発行のとても美しい一冊です。

扉、外装などにシミ・ヤケなどございますが、本文は概ね良好です。

ごく薄く漉かれた紙に終戦翌年の物資の窮乏を思わせど、丁寧に印刷された歌の、文字のひとつひとつに情感が滲むようです。

後の日本の幻想・耽美文学へも受け継がれた、吉井勇の上品にして自在な歌の魅力。

質の良いアルコールにも似た心地よさを是非お楽しみ下さい。

同人誌「復刻 薔薇魔術学説」 西澤書店刊行復刻版

北園克衛により刊行され稲垣足穂などが参加した、日本最初期のシュルレアリスム文芸誌「薔薇 魔術 学説」。

西澤書店による名著復刻版を入荷しております。

表紙デザインを含め、非常に野心的な作品の数々は、現代においても奇異かつ鮮烈。

その美しさに不意な眩暈すら起こしそうな驚きを感じます。

四冊の冊子に、復刻版ならではの解説が付属します。

五冊目以降が続いていたら、と思わずにはいられない、濃密な作品たち。

海外シュルレアリスムの流入直後に起こった国内の文人たちによる、最初のリアクションの麗しい記録。

その色褪せない美をじっくりとご堪能頂けます。

中井英夫「香りの時間」 大和書房 初版帯付き

黒鳥館主人・中井英夫の嗜好の奥深くが覗きみえる随筆集、「香りの時間」。

大和書房刊行、帯付きの美本が入荷してございます。

シンプルな装丁ですが、装画や落ち着いた色味に丁寧な印象を受けます。

時に明朗に、時に難解に語られる様々な題材。

そこに現れる鋭く圧倒するような視線。

素晴らしい作品としての随筆と、素晴らしい作品へ至る記録としての随筆。

中井英夫ファンならずとも、多くの読者の感性に響く良作です。

 

塚本邦雄「短篇集 連弾」 筑摩書房 初版函帯付き

多くの歌集を残した塚本邦雄は、またその美学の発露として幾つかの短篇小説集を刊行しています。

筑摩書房の堅牢な装丁にて、短篇集「連弾」が入荷しております。

目次の並びにも表れる塚本邦雄なる感性。

短歌において見られた眩惑的でむせかえるような言葉が、より克明に世界を撫でる感覚。

整然と並ぶ文字の流れに与えられる美しさ。

歌集のみならず、随筆集、そして短篇集にても奔放に流れ出す塚本邦雄の美文。

銘酒に溺れるような密な読書をお楽しみ下さい。

種村季弘「影法師の誘惑」 冥草舎 初版1500部発行函帯付き美本

童心に潜む影の世界、幼年期の妖しい美学。種村季弘の誘う子供の世界。

冥草舎より初版1500部発行の貴重な一冊。

シンプルな装丁ながら、革背装に堅牢な函、厚手の本文用紙に書物への敬愛を感じます。

図版、資料画像なども多く、より克明に子供たちの失われた幻想の世界を再発見してゆきます。

風景や玩具、ふとした何かとの邂逅に突然思い起こされる幼年期の神秘な感覚。

それらを頼りに読み進める本書の魅力は決して戻れない場所への想いを強く揺さぶるようです。

塚本邦雄「星餐圖」 人文書院 初版函帯月報栞付き極美本

唯一無二の塚本短歌、その不滅の輝き。

塚本邦雄第七歌集「星餐圖」に収められた星々の甘く鋭利な一閃。

頁ひとひらに歌ひとつ。その凛々しく鮮やかな言葉の数々。

付録の栞まで一切のヤケ、シミもなく、ビニールカバーで函も保護されています。

感幻樂、詩歌變など歌集タイトルにも独自の耽美を表す塚本文学。

「星餐圖」のタイトルに相応しい、キラキラとして艶やかな歌の目眩く一時をお楽しみ下さい。