ソールタス「太陽王女」 生田文夫訳 2003年 エディション・イレーヌ

「アンドレ・ブルトン没後50年記念展」に際しての目覚しい刊行や、リゴー「自殺総代理店」などの埋もれた名作の復活と、鮮やかな出版を続けるエディション・イレーヌ。

2003年刊行のソールタス〈紫と美女〉短篇叢書の三番、状態の良い物が入荷しております。

宇野亞喜良の誘い込むようなイラストの表紙に、深みのある色・紙質の装丁。

薄く小さな本ながら、強い存在感を示す優れた造りです。

正方形の版型に組まれた、端正な文字と物語。

生田文夫の訳も味わい深く冴えています。

出版、装丁、そして翻訳の三つが織りなす珠玉の小品。

是非お手に取ってその美しさを感じて欲しい一作となっております。

ベルメール「素描画集」 1966年 銅版画一葉付き特装本

特異な球体関節人形で名を馳せ、多くの絵画・立体作品を制作したベルメール。

彼の遺したスケッチや試作画を網羅しその美学を追う貴重な一冊、1966年刊行の特装本。

GalleryLucifer presents「ハンス・ベルメール作品展-交感する身体-」出展作品です。

艶かしい赤味のクロス函、表紙に未綴じタイプの頁を採用し、膨大な量の作品を納めています。

制作年代を追っての解説を付し、膨大な量の図版を補強。

印刷の質も素晴らしく、微弱な線のニュアンスもとても良く再現されています。

驚くべき技術で幻想に生々しい痛みを宿らせたベルメール。

その作品世界を網羅した、素描画集として素晴らしい完成度を誇る一冊になっています。

ミッチェル/リガード「フェノメナ 幻象博物館」 村田薫訳 1979年 創林社 初版

人・物・事、世に溢れる怪奇な様々を豊富な図版と詳細なレポートで大量無尽に紹介する怪書・フェノメナ。

オカルトファンならずとも楽しめる不穏さが魅力の一冊が入荷してございます。

圧倒的な目次の分量は、「少女を狙う石」「空中礼拝」など不可思議な語句のオンパレード。

「腸チフスメアリー」といった怪人譚から「妖精の棺」、そしてUFOまで濃厚なオカルト本ながら、読み物としてユニークな魅力も有しています。

W.ブレイクの描いた猿の絵、力強い画力。

センセーショナルな語句に頼る事なく、淡々と綴られる異界の魅力。

その独特のバランスに引き込まれる一冊となっています。

ジュネ「花のノートルダム」 堀口大學訳 1962年 新潮社 重版

獄中発、コクトー経由にて花ひらく仏文壇へ。

若きジュネの鮮烈な美文を名人・堀口大學の名訳にて、新潮社のロングセラー単行本を是非。

間を大きくとっての赤いタイトルは、多くみられるスタイルながら品を漂わせます。

献辞にも滲む、純粋なる文人の軋むような魂。

どこか目に薄く感じる本文の印字は、文章の密度に対してとても読みやすい印象を受けます。

決して平坦ではない人生を歩みながらも、不朽の美しさを宿した作品を書き続けたジュネ。

フランスを愛した堀口大學による名訳とととに、愛され続ける確かな名著に仕上がっています。

マンディアルグ「ビアズレーの墓」 生田耕作訳 1989年 奢灞都館 普及版 月報新刊スリップ訳者署名付き美本

内容・造本、ともに優れた書籍を次々と出版し、日本の出版史に今も燦然と輝く奢灞都館。

名著「ビアズレーの墓」普及版、訳者署名入りの美本が入荷しております。

仏文学の翻訳者として名を馳せ、また日本の埋もれた名作の発掘に尽力した生田耕作。

小ぶりながらも達筆な署名です。

普及版ながらも、繊細な印刷、丁寧な文字組、フランス装を採用など、こだわり抜いた造りです。

月報、新刊スリップが付属し、保存状態は表紙・本文ともに極々良い状態です。

短い活動期間ながら、数多の優美な書籍を刊行した奢灞都館。

フランス耽美文学、そして生田耕作作品への耽溺の入り口としても是非お勧めを致します。

ジュネ「アダム・ミロワール」 一羽昌子訳 コーベブックス 昭和52年 初版 332/970限定

その美しい装丁と選書で今なお愛好家を唸らせる伝説の出版社・コーベブックス。

銀色の表紙を手繰れば溢れ出すジュネのポエジーを、一羽昌子の名訳にて愉しめる一冊。

帯欠けながら、ビニールで保護された函と本体は極めて良い保存状態です。

大きく贅沢に取られた余白に、必要最小限のインフォメーション。

削ぎ落とされた装飾から溢れ出す芳醇な詩の世界。

多くの作品を収録する全集や、一つの世界を完結させる単行本とはまた違った、いくつかの詩のみを丁寧に綴じたブックレット。

手の中にあって震えるように繊細なその美しさを、是非お確かめ下さい。

田辺貞之助「夢想の詩学」 牧神社 昭和52年 初版帯

ユイスマンスやゴーティエなどの翻訳で知られ、膨大なフランス文学の翻訳に尽力した田辺貞之助。

夢想の詩学と題されたこの著作においては、その翻訳を通して得た多くの美が詳細に綴られています。

シンプルな函から抜ける、鮮烈な赤の表紙が見事なデザイン。

目次にはフランス文学の重要な人物の名が大量に並びます。

作品から、また人物から、物語に織り込まれたフランスの詩情が丁寧に読み解かれてゆきます。

海外文学の翻訳という難業に挑む文人の、深く繊細な洞察力。

そこから立ち現れる「夢想の詩学」に容易く耽溺できる、優れた書籍です。

酒井潔「奴隷祭」 竹酔書房 昭和6年 初版函

大正末期からのエログロナンセンス文化を牽引し、澁澤龍彦ら後の文人へも強い影響を与えた酒井潔。

彼の代表的な著作「談奇集」より二作目「奴隷祭」が入荷しております。

戦前刊行につき函、表紙にはイタミなどあり。

本文は比較的良い状態を保っています。

躍動感のある豊富な図版に、煽情的なタイトルが並びます。

鞭打ちに焦点を当てて描き尽くされるエロス奇譚の数々。

その饒舌な語り口に、酒井潔の文筆の妙を味わえる一冊です。

ジョゼフ・ケッセル「ライオン」 多田智満子 訳 日本ブリタニカ 1981年初版

ケッセルの名作動物文学「ライオン」とケレックの美麗な絵による豪華な絵本。

多田智満子による名訳にて、印象深い一冊となっております。

深みのある色彩に際立つ動物たちの艶かしさ、大判の頁に緻密に織り出される物語。

絵本という体裁ながら、文学作品としての高い完成度があります。

遠い異国への郷愁、人と動物たちの鮮やかな生命の躍動、それらを克明に描く人智の結晶。

絵と文学と翻訳の三者が創りだす無二の世界を味わえる名作です。

荒俣宏 訳「ダンセイニ幻想小説集」 創土社 1972年初版函帯

自ら団 精二を名乗り翻訳を行うなどダンセイニ作品への愛着をうかがわせる訳者による幻想小説集。

創土社刊行の熱量あふれる一冊です。

凄味の漂う装丁、図版や資料なども充実しています。

密に組まれた本文と、幻惑的な物語のもたらす酩酊感。

とても「濃い」仕上がりとなっています。

分厚く濃密な一冊ながら、容易にその中に溺れてゆく事ができる良著。

ダンセイニ作品への入り口としてもお薦め致します。