桐生操「きれいなお城の呪われた話」 1992年 大和書房初版 帯付き

フランス留学中に知り合った二人の女性による共同ネームにて刊行された、ヨーロッパに纏わるお城と怪奇の幻想譚。

二人のヨーロッパ貴族文化に対する愛と探究心によって綴られる、妖しく不可思議な美麗怪談。

目次を飾る様々な言葉には、幼少期に布団を被って恐る恐る見知った夢見混じりの恐怖が思い出されます。

一つ一つのエピソードもとても秀逸で、味わい深い物となっています。

どこか懐かしい手触りを備えた怪談話は、西洋の古城という入れ物にもヒンヤリと馴染むようです。

サンダスン「この世界を見よ」 1987年 アスタルテ書房 限定300部函付き極美完本

イギリスにて私家版を主として制作する印刷所を設立し、気高い思想をもってヨーロッパの装丁文化に影響を与えたサンダスン。

生田耕作訳・署名入り、当店刊行の「この世界を見よ」。極めて程度の良い完本となります。

「工芸の理想」「美しい書物」の二編を収録。良質な紙、刷り、製本。

書物としての美しさ、を追求したサンダスンによる、高潔で奥ゆかしい書物論が綴られています。

所謂ブックデザインとはまた違う、書物がただ美しくある為の洗練を極めた装丁の美。

その真髄に迫る、まさに美しい書物となっております。

クリス/クルツ「芸術家伝説」 大西広/越川倫明/児島薫/村上博哉訳 1989年 ペリカン社初版 帯付き

古今東西、あらゆる装飾を施されて語られ、伝えられてきた「芸術家の伝説」。

その実像を数多の資料を用いて詳らかに描き出す名著。ペリカン社刊行の意欲作。

目次にて湧き上がる好奇心を裏切らない、充実の内容。

まさしく幻想譚や神話の如き、芸術家を彩る様々な逸話を相手取り語り口は実直です。

巻末の圧倒的な資料、索引のボリュームに、三名の訳者の奮闘を思う素晴らしい作品。

美術ファン、また幻想小説愛好家の方にもお勧めを致します。

モリオン「閉ざされた城の中で語る英吉利人」 ベルメール挿画 生田耕作訳 1989年 サバト館初版 訳者署名入り 函付き

ピエール・モリオン名義で出版されたマンディアルグの、道徳的なる物への破壊の書。

生田耕作訳、署名入り。サバト館刊行の名著です。

状態はとても良好にて、漆黒の装丁が目を引きます。

頁の折々にベルメールの銅版画作品が別刷りのカードとして付されており、作品世界により深い闇を与えています。

目を背ける事も出来ない目眩くような悪徳の美に引きずりこまれるような、恐ろしくも魅力的な一冊となります。

アルトー「アンドレ・ブルトンへの手紙」 生田耕作訳 1978年 サバト館第2版 訳者署名入り完本

シュルレアリスム運動の重要な一人ながらブルトンと袂を別ったアルトー。

生田耕作訳、サバト館による意味深い一冊。訳者署名入りになります。

状態は良好。愛読者カード、新刊案内を付属。

小振りな本ながら、迫力と機知に富んだ辛辣な言葉に引き込まれます。

読む人に様々な事を思わせる力ある一冊です。

ライネス「ボマルツォ公の回想」 土岐恒二 1984年 集英社初版 函付き

澁澤龍彦などによって日本の幻想文学ファンにも広く知られるようになったボマルツォ。

集英社ラテン・アメリカの文学シリーズより6番、ムヒカ・ライネスの長編小説を入荷しております。

シリーズ物の一冊ながら、堅牢な造本が600頁超本文二段組のボリュームを支えます。

図版も多く収録し、主人公とボマルツォ庭園への深い共感を煽ります。

相当な文章量に、豊富な資料。土岐恒二による滑らかな翻訳。

ボマルツォに興味を抱く方にとって非常に魅力的な一冊です。

種村季弘「畸形の神 あるいは魔術的跛者」 2004年 青土社初版 帯付き美本

今なお色褪せない著作の数々を残した種村季弘。

晩年に刊行され、図版も多く収録した読み応えのある一冊。

真っ白な装丁がどこか凄みのある一冊。目次のインパクトが目を惹きます。

豊富な図版も美しく、幻想のそこかしこに潜む畸形のイメージを紐解いてゆきます。

晩年まで多くの著述、研究に勤しんだ種村季弘の遺した良書。

目眩くような読書の愉悦にお勧め致します。

サマーズ「吸血妖魅考」日夏耿之助訳 1976年 牧神社初版 箱付き

怪奇幻想の領域にて、その学識の深さも文筆の描く美しさも並ぶ者のいなかった日夏耿之助。

牧神社より刊行されたサマーズ「吸血妖魅考」では、ヨーロッパに深く根付く吸血鬼とその眷属たちの姿が描かれています。

怪談紙芝居を思わせる赤黄の函、表紙。目次から立ち現れる西洋世界の百鬼夜行。


多岐にわたる資料と共に、サマーズの執拗な調査・研究と、日夏一流の美文を以って描き出される夜の支配者たち、凍るように美しい怪異の数々。

翻訳文学に於いて揺るがない名作を多く書きながら、文化研究にも重要な仕事を遺し続けた日夏耿之助の、まさに類をみない一成果。

そしてサマーズの実際的で地道な研究で浮かび上がる吸血鬼たちは、現代の読者様へも強いインスピレーションをもたらす名著です。

荒俣宏「99万年の叡智」 1985年 平河出版社初版 帯付き

今尚、息をするようにあらゆる知識を求め精力的な活躍で世を驚かせる荒俣宏。

本書にては人類が積み重ねてきた多くの学問の内、陽の目を見なかったあらゆる叡智と日陰に生きた求道者たちを語り尽くしています。


豊富にあり、豊富になればなるほど混乱してしまうようなユニークで希少な図版を多数収録。

野心的で目を驚かせるようなデザインも心憎い造りです。

アメリカで独自の発展を遂げたオカルティズムや中華圏の秘密結社群像、歴史的な学者たちの忘れ去られた神秘学説など、目眩のするような奇妙のオンパレード。

1980年代における学問のマイノリティ百科とも言うべき、稀にみる内容の濃さと分量を備えた良書です。

バタイユ「死を前にしての歓喜の実践」 1987年 サバト館新装版 生田耕作訳 訳者署名入り 月報新刊スリップ付き極美

80年代サバト館より刊行されていた、やや大型でフランス装の書籍の一群。

バタイユの人気タイトル「死を前にしての歓喜の実践」、訳者署名入りを入荷しております。

フランス装の書籍は簡素な中に独特の品を感じます。

生田耕作署名入り。月報、新刊スリップ付き。

生田耕作訳による強烈な美文。

解説も非常に読み応えがあります。

サバト館の書籍としては手に取り易い価格設定もあり、作品の普及に大きな役割を果たしたシリーズ。

短い作品ながら読後感に強い酩酊を残すバタイユ作品を是非お楽しみください。