中井英夫「夕映少年」 初版

先日の黒鳥忌も過ぎ、尚愛好家の中にてその巨大な羽をひるがえす中井英夫。

繊細耽美にして滴るばかりに瑞々しく。夕映少年、初版函帯付きにて。

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帯の若干のスレヨレ以外は良好です。飾り罫に封じられたタイトル書きのフォントに指が誘われます。

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突然のインパクト。挿し絵自体は少ないながら、効果的な意識の誘導をもたらします。

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雪華社、まさにこの時期向けな月報付き。

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ヒリヒリとした痛みを希求するのは、大人の深まりにわたしたちの少年少女が退屈しているのかも知れません。

鞄にも入り易い「夕映少年」、是非一緒に街を歩いて欲しいと願います。

加藤郁乎「句集 牧歌メロン」 限定800部極美

彼一流のエロスと退廃に満ちたユーモアを、句と言う仙丹に練り上げた薫りたつ言語練金集。

句集「牧歌メロン」、限定800部の物が状態良好にて入荷しております。

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色気溢れるビリジアンの表紙、読者カード付き完本。

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独特の取捨選択の果てに迫る句の一つ一つ、1頁2句のリズム感。

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その他、「形而情学」「姦吟集」や全集なども同時入荷しております。

情欲・酩酊・捨て鉢などの心をあくまで晴れやかなる詩句に昇華した氏の作品を、時間の許すままに寝具と酒器の傍でお楽しみ下さい。

金井美恵子「アカシア騎士団」 初版極美

─迷宮の奥へ旅をしないか アカシア騎士団を探しに。(帯文より)

幻惑的な手法を手繰り万華鏡の中を進む感覚。金井美恵子、76年の傑作に溺れる快楽。

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状態良好にて、ざわざわと皮膚に風を感じる装画も見事。

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魅惑的な赤い題字もまた見事。物語に入り込む扉としての、扉。

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枕の伴侶として耽溺すれば、いつしか硬質な夢と現の境目に迷い混んで出られなくなりそうな…。

その幸福に、魔法にかけられる者の楽しさを感じる1冊です。

谷崎潤一郎「初音 きのふけふ」 初版

手馴染みの良い柔らかい紙、古い古い民家の風景を思わせる印刷の質感。

谷崎潤一郎「初音 きのふけふ」創元社版初版、入荷しております。

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古書らしい質感、穏やかめの谷崎作品の味わいの深さにぴたりと。

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経年の劣化などは多少見受けられる物の、良い状態を保っています。

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気負わない造本ですが、古書愛好へ誘う魅力十分な一冊。

贈答品としても喜ばれるのではないでしょうか、ゆるやかな新年の炬燵にて耽りたくなります。

萩原厚生譚 ピエエル・ルウイ「妖婦クリシス」 大正13年再版・発禁本

補修跡も痛々しく、そして誇らしく。

萩原厚生訳によるピエール・ルイス「アフロディーテ」(妖婦クリシス表記)、大正期より発禁本の入荷です。

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カヴァーの破れをタイトルシールで塞いだりと、この本の辿った過酷で、そして愛に満ちた歴史を窺わせます。

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発禁印、血のように紅く。

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海外文学輸入の急先鋒として目にする機会も多い春陽堂、その陰に積まれた多くの悲劇の一冊。

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当時の基準とは言え、発禁処分に付されたルイスの名著、田辺の秀訳。

100年ほどの時を傷付きながらも生き抜いたこの本には、愛されるべき確かな美文が今も収まっています。

澁澤龍彦「貝殻と頭蓋骨」 桃源社・初版極美

澁澤単行本の中でも限定本を除けば発行数の少ない桃源社「貝殻と頭蓋骨」。

稀少な書籍ながらも状態は極めて良好にてのお取り扱いございます。

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真っ赤な装丁、そして滋味溢れるこのフォント!に思わず唸ります。

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近年ようやく一般的な場でも語られるジェンダーの話なども横断する澁澤先生の先見の明。

知の深海を自在に泳ぎまわる様なイメージの筆致。

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70年代の半ばの著書ながら、未だその新鮮さを失わない思考・視点の不朽なる独創。

来年は東京にて複数の話者による連続講座も組まれるなど、没後ますますその作品は冴え渡るようです。

種村季弘「夢の覗き箱」 初版帯美本

─スエヒロ劇場<外国映画>128本封切り!(帯より)

あらゆる文化をその頭脳に収めていった’歩く陳列室’種村季弘による映画本。

マイナー作品を中心に128本分の大ボリュームで映写機は回り始めます。

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ビニールカバーに守られていたので状態は良し、力強い帯も折れなく残っています。

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洋画と言えば格好いいバイク!

使用カットのセレクトにも映画マニアらしい心憎さがあります。

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第一章の目次、第五章まであります。

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出版当時は今と違い、大容量メディアも情報の氾濫するネットもなく、一期一会な映画も多くあったのではないでしょうか。

それ故に、マニアにとって彼の視聴体験こそが彼にしか見えないコレクションルームだったのでしょう。

もう手に入らない映画の評にもワクワクできる、素敵な本に仕上がっています。

中井英夫「黄泉戸契」96/300番極美

良い佇まいの本はそれだけで人を惹き付けます。まして中身は中井英夫ワールド。

「黄泉戸契」、限定300部非売品の番号96。

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箱もカバーも、控えめに付されたタイトル「黄泉戸契」も、中にある物語への期待を否応なしに高めてくれます。

本文を閉じ込める枠線も、細密な未完である作品に、この上なく効果的に作用しています。

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物語が紡がれる物である以上、終らなかった物語をファンや読者は抱えてゆかねばならないけれど。

そんな時、その物語には最も美しい形の中に在って欲しいと、願いは止みません。

澁澤龍彦「旅のモザイク」初版帯カバー

自ら出不精を名乗っていた書斎の超人・澁澤龍彦。

重い腰をあげた氏の、軽やかな旅行記。写真も豊富に、いつにもまして筆先は楽しげです。

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暗い色味の装丁も多い著作の中では、どこかカバンに入った姿が似合いそうなデザイン。

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海外、国内と、旅行記としては少ない訪問先ながら、一ヶ所一ヶ所で見つけ出す物事の多さに脱帽します。

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膨大な蔵書の中で培った目は、書斎を越えて世界の全てから麗しい色々を見出だすに至ったのでしょう。

それは何よりも幸せな才能であったに違いありません。今もその目線は著作を通して、あちらこちらと見聞録の途上です。

夢野久作「ユメノユモレスク」 扉絵三者署名入り極美新刊スリップ付き

国書刊行会による新規全集発行のニュースに上がる歓声の多さに、改めてファンの多さを感じる夢野久作。

新しい代表作の一つとして、「ユメノユモレスク」と現代的挿画の出逢いに、また夢野作品のユニークな象が結ばれました。

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挿画装丁が物語の味わいに与える影響は、やはり多くあるようです。美麗。

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扉絵はそれぞれ、アルフォンス井上・杉本一文・林由紀子・宮島亜紀の四人が担当。

それぞれの画風は違えど、巻末の言葉が全てを語っている気がします。

「愛しています。」

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文学作品としては勿論、ある意味純粋すぎる画家たちとの出逢いにより新しい景色も見出だせるであろう一冊。

夢野入門としてもお奨めしたい書籍です。