生田耕作より 手書き色紙「ぎをんにて」

生田耕作による手書きの色紙、祇園の宴席にて書かれた物のようです。達筆。

IMG_20160608_145040-1600x898

墨絵のタッチも柔らか、日本文化全般に愛着を持った氏の穏やかな横顔が見えるよう。

IMG_20160608_145125-1600x898

忙しい現代では宴席で歌をしたためる、どころか想いを込めて手で文字を記す、と言う行為が中々に遠くなっているかも知れません。

読書好き、本好きとして、一度ゆっくりと自分の言葉を持ち直したくなるような、清い印象の一枚です。

谷崎潤一郎 「倚松庵随筆」

有り余る抒情と感傷とを極めて透明な言葉に閉じ込めた作家、谷崎順一郎の繊細なエッセイ。

雨の降る日にそっとベッドサイドにあって欲しい一冊。

IMG_20160608_152243-1600x898

時代を感じる版の取り様、そこから立ち上る普遍的な人の喜怒哀楽。

IMG_20160608_152400-1200x2137

IMG_20160608_152313-1600x898

函や表紙の状態も良好。

大切に扱われてきたのでしょう、本の中身とともに、しんみりとした優しさを感じさせる一冊です。

扇子 生田耕作より金子國義へ「ぎをん酔唄」

生田耕作による手書きの唄が附されたやや大振りな扇子、味のある筆遣いが華やか。

生田と画家・金子國吉が祇園に飲みに出た際に書かれた物です。

IMG_20160608_151959-1600x898

IMG_20160608_152027-1600x898

艶っぽい水色が雰囲気です、ヨーロッパではエロチックなカラーと言えばピンクではなく薄いブルーらしいですが果たして…。

耽美派の巨匠二人の酒席ではどんな会話がなされたのか。

残された歌ひとつのみぞ知る、ですね。

井伏鱒二 「シグレ島叙景」

国語の教科書で出会う「山椒魚」で有名な文豪・井伏鱒二。

その山椒魚も含む短編集「シグレ島叙景」、カバー背に少しの破れなどありますが発行年代の割には焼けもすくなく本文の状態もいいです。

IMG_20160530_200111-1600x898

IMG_20160530_200119-1600x898

すべっとした薄手の紙に淡い色合いの入江が描かれ、モダンなフォントのタイトル。

少し西洋菓子の包み紙を連想させます。

IMG_20160530_200139-1600x898

ほのかにパルプの香るページから立ち上る、緻密な井伏ワールド。

短編集なのでさくさくと読み進められます。

避暑地への旅行や夏休みの軒先で、すうっと文学に浸りたい時にお薦めしたいです。

臼井喜之介 「京都文学散歩」

京都で様々な文化人と交際をもち、出版局をかまえた臼井喜之介。

また同人誌を主催し、詩人としても活躍したその手腕で鮮やかに描かれた、今で言う京都本「京都文学散歩」です。

IMG_20160530_195625-1600x898

IMG_20160530_195903-1600x898

写真も、その豊富な人脈を活かした貴重なカットがふんだんに使われており、資料価値も高い一冊。

桜色の函も美しいです。

IMG_20160530_195947-1600x898

外をあるく時、町の景色の干渉を受けながら色々な想いが浮かんでは消えてゆくのが人の常ですが、今の町並みと当時の京都市街では、それらが文化人にあたえる影響もだいぶ違った物だったのでしょう。

温故知新、これからリトルプレスや出版を志す方にも是非知ってほしい人物の、柔らかい含蓄に富んだ作品です。

稲垣足穂・中村宏 「地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車」

貴重で稀稿で奇怪な書籍、稲垣足穂・中村宏の共著による「地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車」、タイトルだけでゾクゾクしてしまいます。

IMG_20160530_185002-1600x898

IMG_20160530_185004-1600x898

ビニールの函カバーが彼らの宇宙の「ぬめり」のように感じるのは錯覚でしょうか?

挿絵・写真などからも濃密なタルホ・コスモロジーが溢れでています。

IMG_20160530_185037-1200x2137

状態はやや痛みがありつつも、貴重な一冊。

頭が痺れるような幻想・幻覚に満ち満ちた読書体験をお約束します。

「スター・カッスル」 稲垣足穂没後10年・追悼リトルプレス

没後10年の節目に刷られた「スター・カッスル」、様々なアーティストのタルホへの思いが詰まっています。

IMG_20160530_185257-1600x898

IMG_20160530_185340-1600x898

サイケデリックで攻めたデザインや文字組、カラーリング。

キラキラとしたモチーフを好んだ足穂も、遠い空の星の上でこの本を歓迎したことでしょう。

IMG_20160530_185401-1200x2137

IMG_20160530_185515-1200x2137

あがた森魚さん、熱く語る。

この冊子意外にも著名な物書きによるミニコミ・同人誌が多く創られている稲垣足穂は、やはり別の世界から来た怪人なのかもしれません。

澁澤龍彦・著 野中ユリ・装丁挿画 「夢のある部屋」

澁澤龍彦×野中ユリの黄金比がじっくり堪能できる「夢のある部屋」、帯の痛みすらほとんど見当たらない美本です。

14 - 65

よく見ると、函と表紙・裏表紙が鏡合わせになっている所に、お二人の感性を感じます。

14 - 6614 - 63

鋭い感性で考察を積み重ねる「澁澤節」ももちろん素晴らしいですが、この本ではもう少し散漫に、奔放に、ビロードのチェアと夢想に身を委ねる著者の姿が見えるようで味わい深い一冊です。

その夢想の断片を切り取ったかのような野中ユリの挿画も見事。自室に篭ってページを手繰れば、彼らの夢を追体験するような贅沢な時間を与えてくれるでしょう。

澁澤龍彦・著 「夢の宇宙誌」

術出版発行の絶版本「夢の宇宙誌」、インパクトのあるエッシャーの表紙は覚えのある方も多いのではないでしょうか。

14 - 61

中のカラーページも発色良く残っています。

14 - 58

先代の当店店主が愛蔵していた一冊でもあります。

文庫版では味わえないゆったりと取られた余白と、鮮やかに対をつくるカラー頁の妙は、やはり原典だけの魅力。

資料を追いながら文を組み立てた著者の息遣いまで聞こえてきそうな、そんな雰囲気を感じさせます。

澁澤龍彦 「幻想の彼方へ」

正方形と端正な函絵、マーブル模様の表紙の造本がどこか石のような質量を感じる一冊。

澁澤龍彦「幻想の彼方へ」、初版美函美品です。

14 - 67

函から引き出すと、キリッとこちらまで引き締められるような雰囲気です。

挿絵もたっぷり。

14 - 64

見返しに使われているオレンジ色と函の赤いタイトルがアクセント。

造本通りに、冷静な中にもどこか熱にうかされるような美文がぎゅっとつまっています。